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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


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VIRGIN STEELE 「Nocturnes of Hellfire & Damnation」
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Jack Starr’s Burning Starr 「Stand Your Ground」
Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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─EPIC METAL─





The_Virgin_Steele


「エピックメタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である──」


Synopsis:



Cirith Ungol_1st EPIC(エピック)という単語を邦訳すると"叙事詩"という言葉になり、これはいわゆる「歴史や伝説・神話の物事を記述する」といった意味を持つことになる(また他に、「勇壮」、「英雄的」といった意味も持つ)。要約すると、古来から民族間に伝わってきた物語のことなどを漠然と指し示している。大昔から語り継がれてきた物語の多くは、現在も叙事詩としていくつかの古典文学に残されている。我々はより馴染み深い小説としてそれらの伝記に触れることもあろう。
 叙事詩の起源は、紀元前にまで遡ることができる。世界最古の叙事詩は、『ギルガメシュ叙事詩』(紀元前約2600年前)であると現在は伝えられている。一般に有名な叙事詩的文学作品は、中世英雄時代(8世紀~13世紀頃)に形成されたものが多く、『ベオウルフ』、『ニーベルンゲンの歌』、『ローランの歌』、『アーサー王物語』、『ディートリヒ・フォン・ベルン』、『ヒルデブラントの歌』等があり、これらは主に「英雄叙事詩」という名称で呼ばれる。この他にも、北欧の詩人らによってまとめられたサガ(Saga)やエッダ(Edda)等の作品も存在し、主に上記の分野に所属する。また近年では、17世紀の詩人ジョン・ミルトンの『失楽園』や、13世紀から14世紀にかけての詩人ダンテの『神曲』等の古典文学を取り上げて、叙事詩的作品として扱うことも多い。これらの作品に触発されたヘヴィメタルが、主にエピック・メタルと呼ばれ、叙事詩な文学作品は、その基礎となっている世界観や時代性を形作っている。なおバンドによっては、過去の叙事詩的作品を意図的に扱わず、想像の範囲内で叙事詩を創作し、その世界を舞台とする場合もある。
 エピック・メタル・バンドは上記の世界観──主に古代、中世の時代──に傾向し、作品中に取り上げることが多い。主にコンセプチュアルなアルバムやストーリーを組み立て、いかに叙事詩的なヘビィメタルを作り上げるかの模索を重ねるのが、エピック・メタル・バンドの特色である。時にバンドによっては、何枚ものアルバムに渡りストーリーを展開する試みも行われ、大作映画にも通じる重厚な世界観が展開される。楽曲の題材となるのは、先述した古代や中世を舞台とした実在の史実や架空のファンタジー等であるが、ヒロイック・ファンタジーの分野においてはロバート・E・ハワードの創造した『コナン(CONAN)』、ハイ・ファンタジーの分野においては、J・R・R・トールキンの想像した『指輪物語(The Lord of the Rings)』からの影響が根強く残る。現在は一般的に、欧州出身のエピック・メタル・バンドが傾倒するのが『指輪物語』であり、米国出身のエピック・メタル・バンドの傾倒するのが『コナン』という図式が出来上がっている。
 サウンドは非常に特徴的であり、叙事詩的な世界観を表現すべく、あらゆる挑戦がこれまでに試されてきた。その主なものとしては、キーボードによる交響曲調の旋律や台詞・SE等の導入、オペラ(演劇)に相当する劇的な曲展開、史劇を彷彿とさせる重厚なサウンドの構築、およそ10分を超える大作曲の制作などが挙げられる。エピック・メタルの楽曲は、古典的な手法と様式美的な構成を取り入れ、正統派メタルにも通じる部分が見受けられる。またエピック・メタルの間でも、正統派メタルを基軸にするバンドとメロディック・パワーメタルを基軸にするバンドとでは、サウンドや表現手法が大きく異なるのである。
 他と一線を画すエピック・メタルのサウンド面における最大の特徴は、聴き手の高揚感を誘発するヒロイズムである。ここでは、主に英雄的な叙事詩の世界に忠実であるヒロイックなサウンドを表現することにより、エピック・メタルはより強烈な個性を主張する。エピック・メタルを簡潔に示すとなれば、"大仰かつ劇的でヒロイックなヘビィメタル"ということになろう。

History:



Crystal Logic エピック・メタルの本格的な歴史は恐らく、マニラ・ロード(MANILLA ROAD)のマーク・シェルトンが第一作『Invasion』(1980)のインタビューの際に、「発表したアルバムのスタイルをどう形容するか」という質問に対し「EPIC METAL」と答えた時から始まったとされるが、諸説は様々ある。エピック・メタルの誕生をキリス・ウンゴル(CIRITH UNGOL)の第一作『Frost & Fire』(1981)を起源とする説や、マノウォー(MANOWAR)の『Battle Hymns』(1982)を最初とする説などが他に存在するが、先述したマニラ・ロード説が最も有力であると現在は考えられている。
 しかし、エピック・メタル誕生以前にもイギリスのホークウィンド(HAWKWIND)がマイケル・ムアコックの世界観に影響を受けた『Warrior On The Edge Of Time』(1975)を発表していたし、突然この分野が誕生していったわけではない。80年代初期に発表されたマノウォーの『Battle Hymns』の表題曲"Battle Hymns"が極めて現在のエピック・メタルのスタイルに近いため、この楽曲がエピック・メタルの原型となった可能性は非常に高いとされている。他にもこの時期イギリスのアイアン・メイデン(IRON MAIDEN)など、極めてエピカルな方向性のヘヴィメタルを作るバンドは多かった。しかし80年代初期の決定打は、マニラ・ロードの発表した第3作『Crystal Logic』(1983)であった。これまでのヘヴィメタルの常識を覆すストーリーテリングな内容を描き、ヒロイックな概念のリフを始めて持ち込んだとされる本作は、後のエピック・メタルの確立に多大な貢献を果たした。
 80年代後半に入ると、本格的にJ・R・R・トールキンの『指輪物語』などのファンタジー作品に傾倒したブラインド・ガーディアン(BLIND GUARDIAN)が登場し、その大仰でドラマティックなサウンドから、一部ではブラインド・ガーディアンのサウンドをエピック・メタルと形容した。『指輪物語』からの影響はヘヴィメタル・シーンでも初期ブラック・サバス(BLACK SABBATH)の作品に見られるほど欧州ではポピュラーな題材であったが、ハロウィン(HELLOWEEN)影響下のメロディック・パワー・メタルから派生したブラインド・ガーディアンの登場は、後の欧州におけるエピック・メタルのスタイルを決定付けるものとなった。しかし何れも明確なエピック・メタルの確立と認知には至らなく、エピック・メタル・シーンは長らくアンダーグラウンドを主戦場とし、一部でカルト的な人気を博していった。地下アメリカで活躍したブローカス・ヘルム(BROCAS HELM)やオーメン(OMEN)を筆頭に、イタリア最古のエピック・メタルとして知られたアドラメレク(ADRAMELCH)やダーク・クォーテラー(DARK QUARTERER)など、世に出てない名前は驚くほど多かった。
 このような曖昧な時代に遂に終止符を打ったのがアメリカのヴァージン・スティールの第6作『The Marriage of Heaven & Hell』(1994)であった。本作がその続編『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. II』と共に1995年のヨーロッパ圏で決定的な成功を収めると、世界的にエピック・メタルの名は認知された。現在、この成功はエピック・メタルの歴史の中で極めて重要な事項として挙げられている。これによってヴァージンス・ティールはエピック・メタルの帝王に相応しい名声を手にした。エピック・メタルのファンたちは敬意を込め、偉大なアメリカのエピック・メタル・バンド、マノウォーとヴァージンス・ティールを指して"エピックメタル界の双璧"と呼んでいる。またこの時期、壮大な詞世界で独自のエピック・メタルを極めていくイギリスのバルサゴス(BAL-SAGOTH)も『A Black Moon Broods Over Lemuria』(1995)で密かにデビューを飾った。
 90年代後半になると、エピック・メタルの風向きは更に変わる。イタリアのラプソディー(RHAPSODY)が発表した『Legendary Tales』(1997)の成功によって、エピック・メタル・バンドは大幅に増加する。同国ではドミネ(DOMINE)やドゥームソード(DOOMSWORD)、マーティリア(MARTIRIA)、ロジー・クルーシズ(ROSAE CRUCIS)などのバンドが世界に進出し、この事実が物語るように、後にイタリアはエピック・メタル大国となった。他、スペインからはダークムーア(DARK MOOR)やサウロム(SAUROM)など、エピック・メタルの新時代を担うバンドが登場していった。ラプソディーは自ら作り上げたサーガ四部作を2002年に完成。ドミネにおいては、名作『STORMBRINGER RULER -The Legend of the Power Supreme-』(2001)に代表されるヒロイックかつ幻想的な一連のエピック・メタル作品を立て続けに発表し、かつてキリス・ウンゴルが提示したマイケル・ムアコックの『永遠のチャンピオン』シリーズを描いたエピック・メタル群──即ちソード・アンド・ソーサリー(Sword and Sorcery)の世界を描いてきたエピック・メタルの分野に一旦の終止符を打った。しかし、現在も未だに表舞台に登場していないエピック・メタル・バンドの数は計りしれず、これらの数は正確に計測されていない。
 21世紀、エピック・メタルは進歩の一途を辿り、日々飛躍を重ねている。80年代に比べエピック・メタルの規模は大幅に膨れ上がり、未だ認知に乏しい地域はあるものの、エピック・メタル作品が年内に発表される数は飛躍的に上昇した。その作品も様々な内容である。シンフォニックな手法でエピック・メタルを追求するパスファインダー(PATHFINDER)のようなバンド、正統派でエピック・メタルを追求するドゥームソードのようなバンド、劇的な手法でエピック・メタルを追求するサウロムのようなバンド、映画のような手法でエピック・メタルを追求するラプソディー・オブ・ファイアのようなバンド、果てはバルサゴスのように、我々の想像もつかないような手法でエピック・メタルを極めようとするバンドが登場する。この先、一体如何なるエピック・メタル・バンドが登場してくるかは分からないが、我々はその後を追い続けるのみである。

──編集:『METAL EPIC』誌


代表的なバンド:The List...


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ブラックメタル(black metal)

悪魔主義的なヘビィメタルの総称。

ブラックメタルの主な特徴はその精神性に表れているといっていい。反キリスト教を謳うペイガニズム、サタニズムの継承がそれにあたるが、他にも禍々しい詞世界、異常なまでに歪められたサウンド等、独自の世界観を構築するには十分な要素を持っている。またブラックメタルの場合、内面だけではなく外見にも特有なファッションがなされているのも大きな特徴であろう。主にコープスペイントと呼ばれる悪魔を連想させるメイクや、首から反キリストを主張する逆さ十字(通称イビルクロス)を下げるなどの試みが見られる。

代表的なサウンドとしては多少ブラックメタルと似通う点が見受けられるが、やはり精神面に関しては徹底しているというのが大きな違いである。例えば悪魔崇拝ならその信念を曲げるようなことはない。それがどんなに社会一般から適されようがだ。もちろんそれに伴い音楽性もより高度なものが求められる。代表的なのがクラシックからの影響である。宗教的で荘厳なメタルを標榜するブラックメタルにとって、クラシカルなフレーズの持つ意味は非常に大きい。一見ブラックメタルは低俗な音楽と思われがちだが、それは大きな間違いである。技術面、世界観に関してはマイナーな音楽とは比べ物にならないほどの深みをいっている。クラシックの影響の他にもトレモロリフ、ブラストビートの多様、悪魔のごとき金切り声等の特徴がある。またダウンチューニングをしない点もデスメタルとは違う個所である。つまりはこのような高度な技術が、邪悪かつ過激で背徳性極まりないメタルを作り上げるために用いられたということである。まとめるとブラックメタルとは"宗教的でかつ悪魔的なヘヴィメタル"ということになるだろう。


代表的なバンド
BurzumDimmu BorgirEmperorMayhemBathoryDark FuneralVenom
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メロディックデスメタル(melodic death metal) 

抒情的なメロディを前面に打ち出したデスメタルの総称。


代表的なバンド
Arch EnemyAmorphisChildren Of BodomIn FlamesNortherDark Tranquillity
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デスメタル(death metal)

過激性と禍禍しさを極限まで高めたヘヴィメタルの総称。


代表的なバンド
cannibal corpsecryptopsycarcassnapalm death
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スラッシュ・メタル(thrash metal) 

エクストリームなヘヴィメタルの総称。


代表的なバンド
metallicamegadethslayeranthraxsodomkreatordestructionoverkillannihilator
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シンフォニックメタル(symphonic metal)

クラシックの要素を大々的に取り入れたヘヴィメタルの総称。 

このジャンルもようやく確立したといえるだろう。というのも、シンフォニックメタルなるジャンルが確立するのには長く時間がかかったからだ。このジャンルは、ヘヴィメタル初期の時代から試みられてきたスタイルである。しかし正式に確立したのは1997年頃である。それまでに幾度の試行錯誤があったのだ。そして完成したサウンドはその名にふさわしく、実に壮麗なメタルスタイルとなった。シンフォニックメタルサウンドに主に用いるのは、オーケストラやクワイアである。そのクラシカルな要素をメロディックパワーメタル、デスメタルと融合したものが一般にシンフォニックメタルと形容される。オーケストレーションの導入もありサウンドは大仰、劇的なものになりやすく、極めてエピックメタルとの相違点も多い。どちらにしろメタル界で1、2を争うスケール感のあるスタイルであることは間違いない。中にはRhapsody of Fireの用に映画的な手法を取り入れるバンドもいる。その他にもオペラの要素を導入したりと、このジャンルの進化は計り知れない。まとめるとシンフォニックメタルとは"クラシックと融合したヘヴィメタル"ということになるだろう。 

シンフォニックメタルの歴史は先ほど触れたように初期から始まっている。しかし完全にクラシックとヘヴィメタルを融合することは当時のテクノロジーでは叶わなかった。また、クラシカルな要素の導入にはキーボードのチープさが目立ち、大仰に導入するバンドもほとんどいなかったのである。一部にはクラシカルのフレーズをメロディに導入したイングヴェイ・マルムスティーンや、オーケストラを導入したマノウォーなどの完成度が高いサウンドを提示したバンドもあったが、それでもまだまだこのジャンルが80年代頃に確立されることはなかった。その後も幾多の試行錯誤が繰り返されることになったが、シンフォニックメタル界に革命が起きたのは1997年である。まずTherionが発表したアルバム「Theli」が成功を納めると、続いてWithin TemptationNightwishが成功をおさめた。特徴的なのがTherionにおいては生のオーケストラを大々的に導入したサウンドを提示したこと、Within Temptation、Nightwishに至っては重厚なシンセサイザーの音色に加え女性ボーカルがオペラティックに歌唱を披露するというスタイルがシーンに衝撃を与えた。ある意味、Within Temptation、Nightwishは女性メタルバンドの登場を後押ししたともいえ、ゴシック・メタルにも多大な影響を及ぼした。しかし最も1997年に衝撃的だったのがイタリアから突如現れたRhapsodyである。彼らはなんとデビュー作で、これまでの常識を覆すほど大仰かつ本格的なシンフォニックサウンドを提示し、一部では映画音楽とメタルの融合ハリウッドメタルなるジャンルを確立したとまで言われた。また詞世界も衝撃的であり、エピックメタルに類似するヒロイックファンタジー的な物語を自らが作り出し、その世界観をシンフォニックメタルサウンドで完璧なまでに表現した。Rhapsodyの登場は後に大量のフォロワーを生み出す結果となり、このジャンルがさらに広まりきっかけとなったのである。彼らのフォロワーにはフランスのFairyland、同じくイタリアのThy Majestieなどの素晴らしいバンドがいる。1997年に革命が起こったのは何も一般的なメタル界だけではなく、アンダーグラウンドのブラックメタルシーンでもシンフォニックなジャンルが確立されたといえるだろう。ノルウェーのDIMMU BORGIRがこれまでよりシンフォニックな要素を打ち出した3rd「Enthrone Darkness Triumphant 」を、Emperorがクラシックの要素を覗かせた2nd「Anthems to the Welkin at Dusk」を1997年に発表したことにより、シンフォニックブラックメタルなるジャンルが確立されたのだ。またイギリスのbal-sagothもブラックメタルをベースにしながら劇的なまでに大仰なシンフォニックサウンドを有した2nd「Starfire Burning Upon The Ice-Veiled Throne Of Ultima Thule」を1996年に発表しており、シンフォニックブラックの先駆け的な作品とみなすことができる。しかし残念ながらこれらの傑作たちは、一般大衆の目から遠ざけられているためあまり話題にはならなかったのである。(しかしエンペラーの2ndアルバムは世界中のメタル雑誌でAlbum of the Yearを獲得した)余談だが私はbal-sagothの熱烈なファンだ。こうして世界に広まっていったシンフォニックメタルだが、現在もその勢いは増し、さらに壮大なシンフォニックメタル作品が生み出されているといった現状である。クラシックとメタルの融合などはたから見れば合わないように思われがちだが、今後紹介する偉大なシンフォニックメタルバンド達の数々の名作を聴いてもらえれば、それは間違いだったとすぐに気付くであろう。それほど相反する2つの音楽が合わさったケミストリーは強力だったのだ。


主なバンド
TherionFairylandRhapsody of FireWithin TemptationNightwishEpicaKamelot

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正統派メタル(Classic metal) 

伝統的なヘビィメタルの総称。 

全てのヘヴィメタルの源流。そう正統派メタルは呼ばれている。
ヘビィメタルの創成期たる80年代初期の時代に生まれ、多くのファンに受け継がれながら今まで続いてきた。
またメタルの時代の架け橋ともなったNWOBHMにも深くかかわっている事が挙げられる。

ヘビィメタルには様々な型(ジャンル)があるが、全てを辿るとこの正統派メタルに行き着く。それほどこの正統派メタルは重要な位置を担っており、正統派メタルが消滅することはメタルそのものが消滅することに他ならない。


正統派メタルはメタルの重要な要素全てを含んでいる。掻い摘んで説明しよう。

まず第一に正統派メタルバンドのほぼすべてが用いるメタリックなリフは極めて重要である。金属的で歪みきったギターサウンドが、ヘビィメタルには不可欠なのである。ヘヴィにギャロップするリフが多くのファンに「これぞヘヴィメタルだ」と唸らせるのだ。メタルといわれる由縁がここにはある。金属的、つまりはメタルという語源が出来たのもサウンドからだという説がある。

次に重要なのはポップなところが一切なく、常にシリアスだということである。サウンドは重苦しく硬派であり、信念を持ち何物にも流されない精神面も持ち合わせる。一般の商業的音楽とは大違いである。よくメタルファンはポップスを嫌うが、流行り廃りに流され、臨機応変にサウンドを変え商業的成功を熱望するポップスを気にいることができないのには私も十分うなづける。もちろんポップスファンも同じようにメタルを嫌悪するのはいうまでもない。完璧な音楽などは限りなくないのである。

そして以外にも重要であるのが、ロックンロールからの影響を受けていないということである。この部分は非常に難しい境界線である。例をあげよう。かつてマノウォーのジョーイ・ディマイオはインタビューでこう言っている。「俺たちはメタルファンである以前にロックファンなんだ」と。マノウォーのジョーイといえば漢の中の漢、徹頭徹尾メタルを追求してきた者である。彼がこのような発言をしたのは興味深い。彼はメタルの根底にはロックがあり、それを軽んじる事はできないということをいっているのだろう。もちろんその通りである。ロックが生まれなければメタルは生まれなかった。これは万人が認める事実である。しかしロックンロールとヘヴィメタルを明確に一緒にすることはできるのだろうか。ヘヴィメタルの持つ強いグルーヴ感はロックンロールの型にあてはまるものではないのである。確かに初期の頃はメタルのサウンドの根本的な部分が出来上がってなく、ロックンロールからの影響の強いハードロックと区別することができなかった。しかし徐々に正統派メタルの始祖たるアイアンメイデン、ジューダス・プリーストがロックンロールの影響を消していったことは確かである。特にアイアンメイデンの3rd以降に顕著に表れている。一方先ほど挙げたマノウォーであるが、彼らのアルバムにはロックンロール調の曲が入っている。彼らのアルバムを聴くと、完全にロックンロールの曲とヘヴィメタルの曲とが二極化されているのが分かる。このようにヘヴィメタルとは独自のアティテュード、アイデンティティを持ち合わせた音楽であり、ロックンロールを超えて、一つのジャンルを確立したのである。現に、ロックンロール調の軽快な曲がメタルと形容されることはないのである。また、その世界観も一般の音楽とは大きく異なっており、独自性を強めている。主に詩世界に表現される要素であるが、一般のロックが「愛やセックス、ドラッグや女」を歌うのに対し伝統的なメタルは「歴史や伝承、戦いや戦士」を歌うのである。これが顕著に表れ、正統派メタルより更に大仰かつドラマティックに成り得たものがエピック・メタルであり、メタル独自の世界観を惜しみなく表現しているのは事実である。

以上を踏まえ、結果的に正統派メタルを簡潔に示すとなると"重厚かつメタリックなサウンドを有したヘヴィメタル"ということになる。
 


正統派メタルの歴史はジューダス・プリーストから始まったといってもいい。彼らの行ったレザー、スタッドの着用は今なおヘヴィメタルの伝統服装である。1980年に発表されたアルバム「BRITISH STEEL」はメタリックなリフを軸とした最初のメタルアルバムとして歴史に決定的な打撃を与えた。同じく重要なのがイギリスのアイアン・メイデンである。当時としては恐ろしく凶暴でスピーディな音楽性はメタル以外の何物でもなかった。彼らの初期の傑作3作がのちの正統派メタルに与えた影響は計り知れない。というよりも、前述した二つのバントのもつサウンドそのものが正統派メタルと呼べるのである。すべての正統派メタルバンドが彼らの影響を受けているのは絶対的であり、彼らのサウンドを踏襲していることが正統派メタルでは重要となってくる。その後の80年代以降長らく正統派メタルはメタルの歴史から過去の存在となっていった。しかし90年代後半になると再び伝統的なヘヴィメタルを重んじるという傾向が出始め、徐々に復興を遂げていった。これによってアイアン・メイデンやジューダス・プリーストが復活したというのは大きい。彼らは今なお現役であり、若い世代のメタルバンドから大きな目標として、自らを向上させる糧になっているのである。


しかしよく考えてみれば正統派メタルがなくなることは決してないのである。なぜなら、この文章の冒頭に書いたように、幾多に細分化したメタルの全ての始まりがこの正統派メタルなのだから。ヘヴィメタルの記念すべき出発点を否定するファンはいなかろう。そして、これからも世界中にメタルを信じる根強いファンがいる限り、メタルの精神がなくなることはないのである。
 


主なバンド
JUDAS PRIESTIRON MAIDENSAXONU.D.ORUNNING WILDGRAVE DIGGERMANOWAR
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パワー・メタル (Power Metal) 

正統派メタルをよりアグレッシブにしたメタルの総称。

正統派メタルのもつ伝統性を踏襲しつつ、よりパワフルにしたスタイルのことを我々はパワーメタルと呼んだ。このスタイルには多くのメタルバンドが当てはまるだろう。スラッシュほど過激ではなく、メロディもしっかりしていることから、メタルファンとしては非常にとっつきやすい型である。重厚かつメタリックなリフの壁にスピーディなツーバスの疾走が加わることが多い。しかし最も特徴的なのは詩世界である。ブラックメタル/デスメタルが悪魔や死などの暗黒世界を題材にしているのに対し、パワーメタルは剣と魔法、ドラゴンと英雄などの幻想世界を題材にしている。この傾向が顕著に表れているメタルもあり、極端なものとなるとエピック・パワー・メタルと形容されることもある。簡潔にするとパワーメタルとは"伝統的なメタルをよりパワフルにしたヘヴィメタル"ということになる。 

歴史としては80年代後半に始まったとされ、ドイツのアクセプト、ランニングワイルド、初期ハロウィン等がなどが原型といわれる。またアメリカのパンテラは「パワーメタル」というアルバムをリリースした。このジャンルは類似ジャンルのメロディック・パワー・メタルの歴史と共通する要素が多いため、そちらを参照にされたし。


代表的なバンド
METAL CHURCHRunning WildIRON SAVIORACCEPTICED EARTH
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メロディック・パワー・メタル(melodic power metal)


メロディックで正統派より攻撃性のあるヘヴィメタルの総称。

このジャンルはスラッシュメタルと並び日本人にはなじみ深いジャンルである。キャッチーな旋律を大胆に対し、そこにメタルのパワフルなアグレッションが加味されるというスタイルは、多くのファンが好む要素である。メロディックパワーメタルは主に欧州ドイツより発祥しており、ヨーロッパ全域に広がっている。欧州にはアメリカに比べ、圧倒的にメロディックパワーメタルバンドが多いのもその表れである。
基本的なサウンドとしては、先述したように明確ではっきりと聞き取れるメロディを導入していることが挙げられる。その大仰とも取れるメロディは一般的に"クサメロ"と形容され、このメロディの質によってバンドの評価が判断されることも多い。
メロディックパワーメタルを簡潔に表現するとなると"メロディアスで勇壮なパワーメタル"となる。また、メロディックメタルとパワーメタルの融合などと形容するとより理解しやすい。


歴史:
gammaray2メロディックパワーメタルの歴史は、ドイツのハロウィンから始まったというのが一般的な定説である。ハロウィンの1987年から始まったコンセプト・アルバム「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」シリーズが成功を収めると、ファン達は新たなジャンル、メロディックパワーメタルの幕開けを感じ取った。彼らに影響を受け、80年代後期から90年代初期にかけては様々なバンドが登場した。中でもハロウィンを脱退したカイ・ハンセンが結成したガンマ・レイ、ハロウィンのスタイルに加えファンタジックな方向性を打ち出したブラインド・ガーディアン、独特のスタイルで他の追随を許さないレイジは、現在も第一線で活躍している。興味深いのは、彼らはいずれもドイツ出身だということだ。


hammerfall1しかし90年代の中期ごろになると、このジャンルは全く注目を受けなくなり、リリース等も極端に減り、シーンは低迷してしまう。そんな中でシーンに躍り出たのが、スウェーデン出身のハンマーフォールだった。彼らは1997年発表の1stでメロディックシーンに衝撃を与え、アルバムは欧州で異例のヒットとなった。このアルバムに網羅されたピュアなサウンドが、方向性を見失っていたシーンに新世代の風を吹き込み、メタルファンの心を掴んだという結果だった。
彼らのデビューに続き世界的にメロディックパワーメタルに注目が集まり始めると、まず大国ドイツのEDGUY(エドガイ)が3rd「VAIN GLORY OPERA」(1998)で成功を手にし、ハロウィンの再来といわれる。また元ムーンドックのクリス・ベイ率いるFREEDOM CALLも1st「STAIRWAY TO FAIRYLAND」(1999)でエピカルなメロディックパワーメタルを網羅しデビューを飾った。一方メロディック・メタルの偉大なるマスター、ストラトヴァリアスを生んだフィンランドからはソナタ・アークティカが美旋律を纏った1st「Ecliptica」(1999)でデビューした。彼らは新世代に必要不可欠な若々しい才能と力で、成功を手にしていったのである。
21世紀世紀に入ると、幾つもの優れたメロディックパワーメタルバンドが次々とデビューを飾るようになる。スペインからは今やシーン欠かせないメロディック・モンスターへと変貌したダークムーアが2nd「THE HALL OF THE OLDEN DREAMS」(2001)でシーンに異臭を放つ。またスウェーデンからはDRAGONLANDが超絶なメロディックスピードメタルアルバム「THE BATTLE OF THE IVORY PLAINS」(2001)で鮮烈なデビューを果たす。これらの新世代のバンド達は、メタル新時代の象徴である。そして、現在も新たなメロディックパワーメタルバンドは生まれ続けている。

このように見ていくと、まさにメロディックメタルシーンは、メタル界の一角を担う強大なマーケットへと変貌を遂げたことが分かる。同時に、初心者にも馴染み易いこのジャンルの開拓は、新たなヘヴィメタルのファン層の獲得にも繋がっており、現在も更に拡大中という事実がある。これも背景に、優れたポテンシャルを持つメタルバンドの存在あってこそだということを、常に忘れてはならないのである。

注)今回、類似ジャンルとして主に本国で発達したメロディック・スピード・メタルについては、メロディック・パワー・メタルの枠の中で扱うのでご了承願いたい。なぜかというと、全てのメロディックなメタルは世界的な視点でメロディックパワーメタルの一括りになるからだ。


代表的なバンド
BLIND GUARDIAN、DARK MOOR 、DRAGONLAND 、EDGUY、FREEDOM CALL 、GAMMA RAY 、HELLOWEEN、HEAVENLY、HAMMERFALL 、LABYRINTH、MASTERPLAN、NOCTURNAL RITES、SONATA ARCTICA
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ヴァイキングメタル(viking metal)

その名の通り北欧の戦士として有名なヴァイキングに重点を置いたヘビィメタルの総称。 

ヴァイキングとは、中世英雄時代に主に活躍したスカンディナビア戦士及びノルマン戦士のことを指すことが多い。ヴァイキングメタルはその戦士の系統を純血に受け継いでおり、詞世界やバンドの容貌に全面的に表れている。
北欧での基本的な言い伝えである北欧神話を題材にしたり、北欧の偉大な英雄を讃えたりと、極めてエピカルな要素が多いのも特徴の一つである。また、ヴァイキングメタルバンドの多くが北欧生まれのバンドである。
興味深いのは、ヴァイキングメタルをプレイする者の多くがキリスト教が入ってくる以前の北欧にあった古い考え方を受け継いでいるという事実である。ヴァイキングメタルにはペイガニズムが根底にある。彼らは自分たちの祖先のルーツであるペイガニズムを体現するために、最も適した音楽といえるヘヴィメタルを用いたのだ。
 

サウンドはヴァイキングメタルに恥じぬ民族的なものが多い。そもそもヴァイキングメタルには民族的要素が必須といえる。自分たちの民族主義を表現するためである。具体的にはケルト音階、北欧民謡などの導入が挙げられる。それらはギターのメロディに現れたり、笛やバイオリンばどの管弦楽器にみられることもある。
非常に中世的な音楽になりがちで、大きな特徴となっている。またヴァイキングメタルはデスメタル、ブラックメタルを基盤としており、高速のツーバスや歪んだギターが醸されることが多い。ヴァイキングメタルのサウンドをまとめると"民族的で勇ましく漢らしいヘヴィメタル"ということになる。
 

ヴァイキングメタルの歴史は始祖Bathoryの1990年に発表されたアルバム「Hammerheart」から始まったとされる説が一般的である。またそれ以前にヴァイキングメタルの特徴といえるケルトメロディを取り入れ、荒々しいメタルサウンドを提示したのはランニングワイルドであるともいえる。しかしヴァイキングメタルの決定的な特徴である北欧神話を取り入れデス・ブラックメタルを基盤としたBathoryがやはりヴァイキングらしいといえる。驚くことに、manowarはBathory以前に北欧神話を題材とした歌詞を書き世界観を表現していた。故にこの時期にもヴァイキングメタルの基盤はあったのかと思われる。
その後、ノルウェーのEnslavedが始めて自分たちの演奏しているメタルがヴァイキングメタルというジャンルであるのだと断言した。彼らの3rd「ELD」はヴァイキングメタル史の歴史的名盤とされている。これによりヴァイキングメタルはアンダーグラウンドでありながら徐々にメタルファンに認知されていった。
そしてヴァイキングメタル史において次に特筆すべきは90年代後半にスウェーデンから表れたMITHOTYNのことであろう。これまでのEnslavedやEINHERJEのヴァイキングメタルを純粋に継承しつつ、大仰なまでにメロディックなケルトメロディをツインリード奏でまくるという破天荒なスタイルは、多くのヴァイキングメタルファンに「これぞヴァイキングメタルの理想形だ」と讃えられた。ヴァイキングメタルの王がいるのだとしたら、それは彼らだろう。そしてMITHOTYNによって決定的な力を得たヴァイキングメタルは、北欧のみならず、あらゆる国に侵略をし始めるのである。しかし残念なことに、MITHOTYNは2000年に入ると解散する。
そんな彼らを追うように登場したensiferumは、新世代ヴァイキングメタルの雄であるといえるだろう。まんまMITHOTYNを継承したような勇猛果敢なサウンドは、すぐに熱心なファンに認められた。この頃登場したヴァイキングメタルバンドの中にはmoonsorrow、FINNTROLLなどの素晴らしいバンドが多くいる。
現在ヴァイキングメタルは多くのファンが愛するメタルジャンルとなり、ムーブメントともとれるほどの盛り上がりを見せ、世界中をもはや侵略したといっても過言ではないだろう。それは即ち、今でも信じられる古い世界の思想が現代に戻ってきたということでもある。といってもまだまだ知られてない部分は多いが……。



代表的なバンド
BathoryEnslavedMITHOTYNEINHERJEmoonsorrowFINNTROLLensiferumTýrFalkenbach
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