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「エピック・メタル・ヒストリー 」カテゴリ記事一覧


エピック・メタル・ヒストリー:欧州エピック・メタルの主戦場~イタリアからギリシャへ~

欧州エピック・メタルの主戦場~イタリアからギリシャへ~(The Main Battlefield Of Europe Epic Metal ~From Italy To Greece~)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 NWOMEM以降の欧州エピック・メタル・シーンについての研究・考察。

NWOMEM以降の欧州エピック・メタル・シーンの変化
Greeks1.jpg かつて、欧州におけるエピック・メタルの発祥の地だったイタリア。80年代後半、ダーク・クォーテラー(Dark Quarterer)やアドラメレク(Adramelch)などのバンドの登場によって、欧州のミュージシャンたちは、自らがこのジャンルを創造できることを知った。
 しかし、80年代頃、既にイギリスやドイツでは、アメリカのマノウォー(Manowar)の人気が拡大していた。
 このヒロイックでドラマティックなエピック・メタル・バンドは、欧州に叙事詩的なヘヴィメタル・サウンドの基礎を定着させた。その現実を物語っていたのが、後に登場したイギリスのソルスティス(Solstice)が受けていた、マノウォーからの強い影響だった。
 それから約10年以上の時が流れた。欧州各地では、ブラインド・ガーディアン(Blind Guardian)やラプソディー(Rhapsody)などのバンドの登場によって、フォーク色が強いシンフォニックなエピック・パワー・メタルの音楽のスタイルが拡大した。
 その後、2000年代後半頃、既に現在のエピック・メタル・ヒストリーに記されているように、地中海諸国で"New Wave of Mediterranean Epic Metal(NWOMEM)"のムーブメントが起こるのだった。この熱狂的なムーブメントは、欧州におけるエピック・メタルの拡大や進化をサウンドで物語っていた。
 この頃、欧州におけるエピック・メタルの主戦場は、イタリアを中心としたものだった。2000年代頃、イタリアからは、無数のエピック・メタル・バンドが登場し、ファンたちの記憶の中に残った。
 この中でも、特に有力だったバンドは、マーティリア(Martiria)、アイシー・スティール(Icy Steel)、ホーリー・マーター(Holy Martyr)、ロジー・クルーシズ(Rosae Crucis)、エトルスグレイヴ(Etrusgrave)などだった。ここで挙げた一部のバンドたちは、90年代から欧州のアンダーグラウンド・シーンで活躍していた。

Battleroar01 しかし、NWOMEM期、イタリア勢が活躍する中で、MVPを獲得したのは、ギリシャのアテネ出身のバトルロア(Battleroar)だった。
 これは後の時代に明らかとなったことだが、ヘヴィメタル・ファンたちの間で、バトルロアの名前は、マニラ・ロード(Manilla Road)、キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)、ソルスティスに次いで有名だった。その背景には、バンドの第3作『To Death and Beyond...』(2008)の成功があった。
 言うまでもなく、このNWOMEMを象徴する偉大な名盤は、2010年代以降の全てのエピック・メタル・サウンドの基礎となった。
 そして、2010年代に入り、新たな時代を迎えた欧州のエピック・メタル・シーンは、一つの変化を迎えた。これまでに主戦場となっていたイタリアが衰退し、熱狂がギリシャへと移動したのだった。
 実際のところ、NWOMEM以降、ギリシャからは、強力がエピック・メタル・バンドたちが次々とデビューを果たした。
 その代表格が、ダーク・ナイトメア(Dark Nightmare)、セイクリッド・ブラッド(Sacred Blood)、ラースブレイド(Wrathblade)などのバンドたちだった。また、ギリシャ圏のキプロス島からは、ソリタリー・セイバード(Solitary Sabred)、アラヤン・パス(Arryan Path)などのバンドたちが登場した。
 アテネのエピック・メタル・レジェンド、リフレクション(Reflection)もこの頃に復活を遂げた。
 ギリシャでは、NWOMEMのムーブメントと時を同じくして、アンダーグラウンド・エピック・メタル・フェスティバル、「Up The Hammers/U.T.H.」も開催された。この一大イベントは、世界各地から有力なエピック・メタル・バンドたちを集めたものであり、ギリシャにおける叙事詩音楽の盛り上がりの象徴となった。
 当然のように、「Up The Hammers/U.T.H.」は、2019年現在まで継続されていた。
 かくして、2010年代も終わりに近付く頃、ギリシャは、新たなエピック・メタル大国となった。世界中のアンダーグラウンドのエピック・メタル・ファンたちは、この国の動向に注目し、新たな作品の発表を待った。
 思い返せば、ギリシャでヴァージン・スティール(Virgin Steele)の「アトレウス」がエアプレイ・チャート入りしたように、この国には、元々、叙事詩的なヘヴィメタルに対する強い関心があった。ギリシャの世界的ギタリスト、ガス・Gは、好きな映画の中に『コナン・ザ・グレート』(原題:Conan the Barbarian)を挙げた。
 過去の様々な出来事がエピック・メタルへと繋がる国、それがギリシャだった。
 今後、ギリシャのエピック・メタル・シーンは、更なる熱狂を続け、やがて、それが世界へと拡大していくことだろう。

{July 2, 2019}


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エピック・メタル・ヒストリー:2000年代以降のエピック・メタル・サウンドを決定付けたバンド──Battleroar──

2000年代以降のエピック・メタル・サウンドを決定付けたバンド──Battleroar──


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 ギリシャのバトルロアの登場と2000年代以降のエピック・メタル・シーンへの影響の考察。

バトルロアの登場
Battleroar_3rd 2000年頃、ギリシャのアテネで結成されたバトルロア(Battleroar)は、地中海諸国でエピック・メタル・ムーブメントが起こるきっかけとなったバンドだった。
 バトルロアが発表した第3作『To Death and Beyond...』(2008)は、一般的にNWOMEM(ニュー・ウェイヴ・オブ・メディタレニアン・エピックメタル)と呼ばれることとなるムーブメントの最重要作品だと言われた。この作品は、2000年代のエピック・メタルの変化・進化を凝縮した内容を持ち、過去のエピック・メタル・サウンドを踏襲していた。
 『To Death and Beyond...』の中で、楽曲やバンドが描く世界観のモチーフとなったのが、従来のヒロイック・ファンタジーや古代の伝説・神話などだった。具体的には、ロバート・E・ハワードの小説〈コナン〉シリーズ、マイケル・ムアコックの『永遠のチャンピオン』シリーズ、エドガー・ライス・バロウズのSF小説〈火星〉シリーズ、北欧神話、ギリシャ神話などだった。バンドはこうした叙事詩的なモチーフにエピック・メタルの音楽性を融合させた。
 結果的に、バンドのポテンシャルの高さと比例して、『To Death and Beyond...』は衝撃的な作品となった。現在では、数多くのエピック・メタル・ファン、バンド、ミュージシャンたちが、この作品を2000年代におけるエピック・メタルの最重要作品だと認めている。
 『To Death and Beyond...』の発表後、地中海におけるNWOMEMのムーブメントは、更に盛り上がることとなった。バトルロアは2000年代を代表するエピック・メタル・バンドとなり、キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)、マニラ・ロード(Manilla Road)、ソルスティス(Solstice)の次に有名となった。実際のところ、2000年代後半~2010年代の新しいエピック・メタル・ファン、バンド、ミュージシャンたちは、キリス・ウンゴル、マニラ・ロード、ソルスティスなどの始祖たちよりも、バトルロアのサウンドを知っていた。
 バトルロアが『To Death and Beyond...』で提示したエピック・メタル・サウンドは、大仰かつヒロイックでチープさを微塵も感じさせないものだった。これはヨーロッパ諸国のパワー・メタルとアメリカ大陸のエピック・メタルが出会った結果に過ぎなかった。それを証明するかのように、バトルロアはマニラ・ロードのマーク・シェルトンと出会い、第2作『Age of Chaos』(2005)の中で、彼をゲスト・ミュージシャンとして迎えた。ヨーロッパ生まれのパワー・メタルとアメリカ産のエピック・メタルの決定的な出会いがこれだった。
 ギリシャのバトルロアの登場によって、2000年代以降のエピック・メタルは、劇的な進化を遂げた。新世代のエピック・メタル・ファン、バンド、ミュージシャンたちに、この音楽シーンの代表的なバンドを尋ねてみよう──キリス・ウンゴル、マニラ・ロード、ソルスティス、バトルロア──エピック・メタルの定義が塗り替えられた瞬間だった。

{Jun 31, 2019}


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エピック・メタル・ヒストリー:ナイジェル・サックリングの言葉

ナイジェル・サックリングの言葉(The Words Of Nigel Suckling)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 ナイジェル・サックリング(Nigel Suckling)が『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』(Heroic Dreams, 1987)の中で言及した、ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルの共通点についての考察。


「野人コナンとヘヴィメタルの間には、目に見えるほどの差はない。双方とも勇敢に、敵対する世界を自らの手で征服する。ただそこで違うのは使用する武器だけである」

 ──Nigel Suckling



ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルの共通点
Heroic_Dreams.jpg ロバート・アーヴィン・ハワード(Robert Ervin Howard)やマイケル・ムアコック(Michael Moorcock)などの作家が創造した壮大な世界を、もし視覚的に体験したいと考えるならば、『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』は大きな役割を果たすはずである。ここに収められているのは、過去に活躍した華々しいファンタジー・アーティストたちの傑作群だ。
 この『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』は、1987年に日本テレビが発行した大型本であり、かつてのヒロイック・ファンタジーの盛り上がりを体験するためには、正に至高の内容である。本書の中には、レス・エドワーズ(Les Edwards)、ジュレク・ヘラー(Julek Heller, 画像参照)、アラン・クラドック(Alan Craddock)などの有名ファンタジー・アーティストたちの作品が掲載され、それらは「コナン」、『火星』シリーズ、『永遠のチャンピオン』、『ベオウルフ』、「アーサー王伝説」、ウェルキンゲトリクス、ケルト神話、北欧神話、その他の中世・古代の英雄叙事詩などにインスピレーションを得たものとなっている。
 また、エピック・メタルのファンたちの心を揺さぶるのは、何も派手なイラスト集だけではない。この『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』の中には、イギリスの作家、ナイジェル・サックリングが執筆した興味深い文章が掲載されている。この文章とは、ナイジェル・サックリングが過去のヒロイック・ファンタジー小説や英雄叙事詩を独自に考察したものであり、そこで指摘されていたのが、ヘヴィメタルとの共通点だったのである。
 詰まるところ、ナイジェル・サックリングが語るには、「コナン」に代表されるヒロイック・ファンタジーの世界観と、ヘヴィメタルが持つ精神性が、極めて似通っているというのである。この無限のヒロイック・ファンタジーの知識を持った作家が、当時のエピック・メタル・シーンを把握していたのかは分からないが、巧みに紡ぎ出された言葉は、驚くべきことに、殆ど真実を物語っている。
 例えば、コナンやゾンガーなどの野蛮な英雄──ナイジェル・サックリングの言葉を用いれば、"バーバリック・ヒーロー"──たちは、一振りの剣を武器として掲げ、広大な大陸の煌く諸王国を蹂躙していく。そこには、英雄(戦士)の敵となるべき邪悪な魔術師や魔物たちの存在があり、人々は圧政や虐殺に耐えながら、常に貧しい生活を送っている。
 同じく、世界各地で活動するヘヴィメタル・バンドたちも、ギターやドラムという現代の武器を掲げ、傲慢な大人たちや社会が繰り出す圧力や弾圧に対して、抵抗の声を上げている。そして、バーバリック・ヒーローとヘヴィメタル・ミュージシャンの背後には、常に熱狂的な信者(ファン)たちが付き従っているのだ。
 こうした図式を見る限り、──正にナイジェル・サックリングが語った通り──ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルがやっていることの根底には、全く同じ血が流れている。だからこそ、現代のヘヴィメタル・ミュージシャンたちは、挙って過去のヒロイック・ファンタジー小説や英雄叙事詩などを作品の題材に選択する。
 "エピック・メタル"というサブ・ジャンルが誕生した経緯も、全ては過去の偉大な作家たちの筋書き通りだったのかも知れない。

{Sept 7, 2017}


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エピック・メタル・ヒストリー:幻想文学の視覚的イメージと叙事詩的なヘヴィメタル

The Epic Metal And Fantasy Art.


michael_whelan02.jpg

幻想文学の美しい絵画の世界
 エピック・メタルというジャンルに欠かせないのが、ヒロイックな作品を彩る幻想的なカヴァー・アートワークである。その美しく幻想的なアートワークがあってこそ、エピック・メタルのファンたちは、このジャンルの壮大な音楽の視覚的イメージが掴めるのだ。そして、当然のように、過去の偉大なエピック・メタル・バンドたちは、アルバム・ジャケットが持つ魔力を充分に理解していたのである。
 例えば、エピック・メタルの始祖であるキリス・ウンゴル(Cirith Ungol)は、わざわざファンタジー・アートの巨匠、マイケル・ウェーラン(Michael Whelan)に許可を求め──バンド側も最初は、フランク・フラゼッタ(Frank Frazetta)を使うことを考えていたのだが──、全てのアルバムに印象的な"シンボル"を登場させた。この"シンボル"とは、イギリスの小説家、マイケル・ムアコック(Michael John Moorcock)の名作『永遠のチャンピオン』(Eternal Champion)シリーズの中に登場する、混沌のマークやエルリックなどのことだった。
 また、"メタルの王たち"の異名を取るマノウォー(Manowar)は、"コナン・アート"で有名なアメリカのアーティスト、ケン・ケリー(Ken Kelly)とタッグを組み、強烈な印象を放つアルバム・ジャケットを生み出した。マノウォーの名作『Kings Of Metal』(1988)に描かれた、敢えて顔をはっきりとは描かれていない戦士は、後にバンドの"シンボル"となった。
 その他にも、世界各地のエピック・メタル・バンドたちによる、アルバム・ジャケットに情熱を捧げた逸話は、数多く残っている。
 メロディック・パワー・メタルやエピック・メタル・シーンの中で、既に馴染み深い存在となったドイツ人のアンドレアス・マーシャル(Andreas Marschall)は、無数の幻想的なアルバム・ジャケットを描いたイラストレーターの一人だった。アンドレアス・マーシャルが手掛けた有名なカヴァー・アートワークは、ブラインド・ガーディアン(Blind Guardian)、ランニング・ワイルド(Running Wild)、グレイヴ・ディガー(Grave Digger)、ハンマーフォール(HammerFall)、ダーク・ムーア(Dark Moor)などである。
 ここで紹介した有名なカヴァー・アートワークのデザインは、何れも作品や楽曲の持つ世界観に対して、アーティスト側が独自にインスピレーションを得て形となったものだった。つまり、エピック・メタルの壮大な世界観は、楽曲とアートワークが一つになり、そこで初めて完成したのである。
 このように、叙事詩的なヘヴィメタルの世界には、それを彩る幻想的なアートワークが必要不可欠であり、バンドやファンたちも、芸術の分野には、人一倍深い関心を持っていた。常に壮大な視覚的イメージがあるからこそ、エピック・メタルは無限の可能性を放つことができたのだった。


Metal Epic, Sept 2017


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エピック・メタル・ヒストリー:「エピック・メタル名言集」

エピック・メタル名言集(The Epic Metal Famous Words)


著者:Cosman Bradley
翻訳:METAL EPIC


 代表的エピック・メタル・バンドの名言集。

キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)
CirithUngol_02.jpg

「我々の音楽性は、一般的に“エピック・メタル”と分類されている」
 ──グレッグ・リンドストーム


マニラ・ロード(Manilla Road)
ManillaRoad_01

「『インベイジョン』の発表後、誰かがインタビューの中で、ヘヴィメタルの音楽のスタイルを訪ねた。私は一瞬考えてから、“エピック・メタル”と答えた。その時から、我々は、常にエピック・メタル・バンドだと思われている。当時の私には分からなかったが、多くの人々は、あれが叙事詩的な音楽のスタイルの誕生の瞬間だったと言っている」
 ──マーク・シェルトン


マノウォー(Manowar)
Manowar_01

「偉大なるオーディン、戦いの神に心からの敬意を表する時に、カントリー・ミュージックやジャズやテクノでは、適切なイメージは生まれない。オーディンについて歌うのであれば、真のヘヴィメタルでやらなくてはならない。それ以外では、適切なものにはならないだろう」
 ──エリック・アダムス


ヴァージン・スティール(Virgin Steele)
VirginSteele_01

「大胆かつ大仰で、堂々とし、壮大なものこそがヘビィメタルだ。そして、尊大であり、シンフォニックであり、現実とは異なる世界へと連れて行ってくれる……。それが俺たちにとっての真のへビィメタルなんだ」
 ──デイヴィッド・ディフェイ


コルドロン・ボーン(Cauldron Born)
HowieBentley_01.jpg

「(マニラ・ロードを)聴いたことないね」
 ──ハウィー・ベントレー


ラプソディー・オブ・ファイア(Rhapsody Of Fire)
RhapsodyofFire_01

「(『ロード・オブ・ザ・リング』は)ファンタジーの世界を最もリアルに再現した映画だ」
 ──ルカ・トゥリッリ


バルサゴス(Bal-Sagoth)
Bal-Sagoth_01

「我々のジャンルはヘヴィメタルではない。“バルサゴス”だ」
 ──バイロン・ロバーツ



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エピック・メタル・ヒストリー:「NWOMEMの定義と代表的なバンド」

NWOMEMの定義と代表的なバンド(The Definition Of NWOMEM And Typical Band)


著者:Cosman Bradley
翻訳:METAL EPIC


 NWOMEMに関する調査結果。

NWOMEMの定義
 “ニュー・ウェイヴ・オブ・メディタレニアン・エピック・メタル”(New Wave Of Mediterranean Epic Metal, NWOMEM)とは、2000年代後半の地中海各地で勃発した、ヘヴィメタルのムーヴメントの一種である。
 NWOMEMにおけるエピック・メタルの定義とは、80年代にキリス・ウンゴルとマニラ・ロードが提示したサウンドと精神性を追求し、それに限りなく接近した音楽のスタイルを、自らが演奏しているということ。

代表的なバンド
 主に2000年代以降、地中海各地のアンダーグラウンド・シーンから登場したキリス・ウンゴルやマニラ・ロードなどに強い影響を受けたバンドたちが含まれる。

イタリア
 ・ドゥームソード(DoomSword)
 ・マーティリア(Martiria)
 ・ロジー・クルーシズ(Rosae Crucis)
 ・ホーリー・マーター(Holy Martyr)
 ・ヴォータン(Wotan)
 ・アイシー・スティール(Icy Steel)
 ・バトル・ラム(Battle Ram)
 ・スパルタクス(Spartacus)

DoomSword.jpg

ギリシャ
 ・バトルロア(Battleroar)
 ・セイクリッド・ブラッド(Sacred Blood)
 ・ラギング・ストーム(Raging Storm)
 ・ラースブレイド(Wrathblade)

Battleroar-01.jpg

キプロス
 ・アラヤン・パス(Arrayan Path)
 ・ソリタリー・セイバード(Solitary Sabred)

SolitarySabred_03.jpg

ポルトガル
 ・アイアンソード(Ironsword)

Ironsword_03.jpg


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エピックメタル・ヒストリー:「エピックメタルの帝王」 Virgin Steele(編集版) 2/2

エピックメタルの帝王(Emperor Of The Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではヴァージン・スティールとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている(前回より...)。


「大胆かつ大仰で、堂々とし、壮大なものこそがヘビィメタルだ。そして、尊大であり、シンフォニックであり、現実とは異なる世界へと連れて行ってくれる……。それが俺たちにとっての真のへビィメタルなんだ」

 ──David DeFeis



エピックメタルの帝王
Virgin_Steele_02 前作『Life Among the Ruins』(1993)の発表から約1年後、ヴァージン・スティールは新作のためにいくつかのアイデアを試した。それが具体的な形となって完成したのが1994年に「T&T / Noise」より発表された第6作『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅰ』であった。本作の発表はヘヴィ・メタルのファンの間に大きな波紋を生み、特にこの作品が欧州のファンに広く認められたことでエピック・メタルは世界的な市民権を得た。また、本作はコンセプト・アルバムの第1作目であり、人種問題や宗教問題、戦争などをメイン・テーマにしていた。輪廻転生を題材にしたという本作の壮大なテーマ・メロディに関しては、冒頭を飾る名曲"I Will Come for You"と最後のインストゥルメンタル"The Marriage of Heaven and Hell"で聴くことができる。この他にも、作品にはデイヴィッド・ディフェイ本人の個人的な葛藤や文豪エドガー・アラン・ポーの詩を扱っている楽曲も導入されていた。後に、この作品は『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅱ』と『Invictus』を含めて「マリッジ三部作」と名付けられた。現在でも多くのファンが認めているように、『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅰ』はヴァージン・スティールの黄金時代を開始させるきっかけとなった。第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. Ⅱ』は1995年に「T&T / Noise」より発表された。本作は多くのファンに「ヴァージンス・ティール史における最高傑作」と呼ばれた。傑作であった前作を凌駕する完成度の高さは、デイヴィッド・ディフェイというアーティストの才能の爆発を示していた。本作はコンセプト・アルバムの第2作目であり、魂の輪廻転生、強き人間の肉体と精神、天国と地獄の和解(The Marriage of Heaven & Hell)といったテーマを扱っていた。また、世界観の構築という面でもエピック・メタルらしいドラマ性で完成され、楽曲の題材に『旧約聖書』や『新約聖書』、アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』などの作品を選択している。この作品でヴァージン・スティールのサウンドは確立され、デイヴィッド・ディフェイ本人はバンドの音楽性を「Barbaric and Romantic(野蛮でロマンティック)」と名付けた。以来、ヴァージン・スティールのサウンドはこの音楽性に忠実となっている。本作のハイライトは"Prometheus The Fallen One"と"Emalaith"であり、この楽曲では前者がアイスキュロスの『縛られたプロメテウス』を、後者がオリジナル・ストーリーの"エンディアモンとエマレイス"の叙事詩を歌っている。なお、現在でもエピック・メタル・ファンの中ではこの楽曲を最高傑作とする声が多い。マリッジ最終作である第8作『Invictus』は1998年に「T&T / Noise」より発表された。本作は前作と同様にファンから絶賛され、世界各地の雑誌等でも高評価を獲得した。本作は大掛かりなストーリー・アルバムであり、前作収録の名曲"Emalaith"に関する内容が具体的に取り上げられている。アルバム・タイトルは英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリー(William Ernest Henley)のヴィクトリア時代の詩『Invictus』(1875年)がモチーフである。この内容はエンディアモンとエマレイスによる戦いと輪廻転生の物語に深く関わっている。なお、本作の物語ではエンディアモンとエマレイスが新しい神々と700年に渡り争っており、自分たちは古い神々のために血の復讐(Blood of Vengeance)をするという。その光景が全編の楽曲の中で鮮明に描かれている。作品にはこれまで以上に古典古代(ギリシャ・ローマ)風のメロディが強調され、ヴァージン・スティールのエピック・メタルを唯一無二の存在にしている。最後の大作"Veni, Vidi, Veci"はローマの軍人ガイウス・ユリウス・カエサルの名言であり、「来た、見た、勝った」という意味を表している。これは実際にエンディアモンとエマレイスの最終的な勝利を決定付けている。この作品以降、デイヴィッド・ディフェイは神話の世界をモチーフにして現実社会を描写するという作風を強調させていく。「マリッジ三部作」以降、ヴァージン・スティールは"エピック・メタルの帝王"と称されてシーンのトップに君臨する。バンドはその後も精力的に活動を続け、1999年に「T&T / Noise」より第9作『The House of Atreus, Act I』を発表する。これまでの楽曲で表現されてきた古代ギリシアの世界をモチーフとした本作では、続く2000年同レーベルより発表された第10作『The House of Atreus, Act Ⅱ』と並び「アトレウス二部作」と名付けられた。タイトルのアトレウスとは物語に登場する呪われた一族の名である。作品は「マリッジ三部作」と同様に欧州で圧倒的な支持を受け、バンドの更なる地位の獲得に貢献した。これらの作品は古代ギリシアの劇作家アイスキュロスの『オレステイア三部作(The Oresteia)』を題材にしており、ドイツの演劇監督ウォルター・ウェイヤーズ(Walter Weyers)とマルティナ・クラウスキー(Martina Krawulsky)によって制作を依頼されたものである。本作は発表前に実際のドイツ国内の舞台でも上演された。1999年6月5日の初演は"Klytaimnestra"と名付けられ、へヴィ・メタルを基盤とした歴史上で初のミュージカル作品となった。この成功の後、「マリッジ三部作」を題材にした"The Rebels"という名のメタル・オペラが第2作目として新しく上演された。また、2003年には次作の基盤となる第3作目のメタル・オペラも完成していた。今回のヴァージン・スティールの作品では『The House of Atreus, Act I』で『アガメムノーン』を 、『The House of Atreus, Act Ⅱ』で 『供養する女たち』 と『慈みの女神たち』をそれぞれ描いている。前述の通り、「アトレウス二部作」は世界各地のエピック・メタルのファンに絶賛され、その他に演劇の世界からも大きく注目された。これらはエピック・メタルを主軸にした古代ギリシア悲劇の現代における再現でもあった。『The House of Atreus, Act Ⅱ』では10人になる登場人物をデイヴィッド・ディフェイが一人で演じ切り、『The House of Atreus, Act Ⅱ』では7人の登場人物をデイヴィッド・ディフェイに加え2編からなる聖歌隊が歌い紡いでいる。そのオペラティックな手法も影響しての欧州の評価であった。また、本作は古代ヘラス──紀元前のギリシア──をテーマにしたへヴィ・メタルのサブ・ジャンル、ヘレニック・メタルの誕生にも多大なる貢献をした。初期作品をリメイクした企画盤『The Book of Burning』を2002年に完成させた後、ヴァージン・スティールは第11作『Visions of Eden: The Lilith Project (A Barbaric Romantic Movie of the Mind)』を「T&T / Sanctuary」より発表する。作品は2003年頃に既に完成していたが、レーベル側の問題で3枚組の構想が却下され、発売日が延期された。2006年にデイヴィッド・ディフェイの所有するレコーディング・スタジオ"The Hammer of Zeus"で録音した本作の題名には"Lilith" または"Lilith Work"というタイトルが選出されていた。今回は前作から約6年振りの作品となったが、内容は創世記の時代を舞台にした全く新しいスタイルのエピック・メタル・オペラとなっていた。ドイツで実現された「アトレウス二部作」、「マリッジ三部作」舞台化の成功後、デイヴィッド・ディフェイは同じドイツの劇団から演劇用の楽曲の制作を提案されていた。それに返答した際の約40曲がこの『Visions of Eden』の原型であった。過去にジョン・ミルトンなどの文学作品がエピック・メタルのモチーフとなることはあったが、その試みはキリス・ウンゴルの『Paradise Lost』(1991)を最後に終わっている。ヴァージン・スティールは本作でアダムの最初の妻となったリリスの悲劇について歌い、創世記の中の叙事詩を鮮明な手法で描いている。楽曲は主にそのリリスの視点から描かれており、時に生々しい描写で苦悩や愛を表現している。デイヴィッド・ディフェイ本人が語るには、真の文化を理解するためには創世神話を見るのが正しいという。なお、本作のメイン・テーマであるリリスの伝説が誕生したのは主に中世であり、その起源は古代シュメール人の伝承の中にあるという。また、リリスは世界最古の英雄叙事詩『ギルガメシュ叙事詩』に登場する妖魔キスキル・リラであるとも考えられている。作品は最終的に「リリス・プロジェクト」と題され、楽曲はヴァージン・スティールのエピック・メタルの集大成となり、収録時間は約80分に及んだ。作品の背景にはロマン派の影響があり、ショパンやヴェルディ、ワーグナー等の作曲家の残した功績も大きいという。2010年になってもヴァージン・スティールの活動は衰えることがなかった。この年の10月には「SPV/Steamhammer」より第12作『Black Light Bacchanalia』を発表する。ここでヴァージン・スティールは"エピック・メタルの帝王"の健在振りをシーンにアピールした。デイヴィッド・ディフェイはここで一旦「リリス・プロジェクト」を手放し、過去に描かれていた一つのテーマを再構築している。それがキリスト教によって古代信仰が弾圧されていく様であり、本作はヴァージン・スティールの歴史の中で最も暗く重い作品となった。デイヴィッド・ディフェイが追求しているこの意味深なテーマは、繰り返す歴史の惨劇や相容れない宗教世界の危うい宿命を雄弁に物語っていた。──結果的に、ヴァージン・スティールの歴史はエピック・メタルというサブ・ジャンルの発展に深く関わっている。これまでにヴァージン・スティールは多くの功績を残しており、それらが一般的な資料としてヘヴィメタル史にも記録されている。その代表的なものが、古代ギリシア等の文学作品をへヴィ・メタルのジャンルに取り入れたことである。これらの試みは見事に成功し、『The House of Atreus』シリーズなどの名作を生み出している。その成功を物語るように、これらは欧州を中心に現在でも高く評価されている。また、ヴァージン・スティールはサウンドの面でもエピック・メタルの可能性を大きく飛躍させた。その代表的なものが、演劇の世界に影響を受けたプロジェクト「Metal Opera and Theatre」の歌劇に通じる要素や「Barbaric and Romantic」と表現される音楽性の確立である。これらの要素はドイツにおける「アトレウス二部作」と「マリッジ三部作」の舞台化によって完成している。こういった現実的な成功の記録によって、現在のヴァージン・スティールの地位はエピック・メタルというサブ・ジャンルの中で確立されているのである。エピック・メタル・シーンでは現在もマニラ・ロード等の重鎮が活躍しているが、同じようにヴァージン・スティールも"エピック・メタルの帝王"としての仕事を続けている。そして、古参が『Visions of Eden』のようなエピック・メタルの真の傑作をバンド結成25年後に生み出せることを証明している。

{Mar 31, 2014}


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エピックメタル・ヒストリー:「エピックメタルの帝王」 Virgin Steele(編集版) 1/2

エピックメタルの帝王(Emperor Of The Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではヴァージン・スティールとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている。

エピックメタルの創世記にて
Virgin_Steele_01.jpg ヴァージン・スティールは後にエピック・メタルというサブ・ジャンルを確立させ、その歴史を作っていくヘヴィ・メタル・バンドである。初期のヴァージン・スティールはアメリカのニューヨークでデイヴィッド・ディフェイ(David Defeis:Vo)とジャック・スター(Jack Starr:g)を中心に結成された。ジャック・スターはフランス出身であり、9歳まで過ごした後にニューヨークへと移り住んだ。一方のデイヴィッド・ディフェイは1961年1月4日に音楽一家の家系に生まれ、幼い頃からクラシック音楽や演劇などに親しんで育った。彼の父は有名なシェイクスピア俳優であり、演劇と同じくピアノの教育にも熱心であった。デイヴィッド・ディフェイは8歳の時にピアノのレッスンを始め、欧州のクラシック音楽を中心に学んだ。16歳の時に転機が訪れた。マウンテン・アッシュ(Mountain Ash)と呼ばれる彼のバンドが高校のギグのためにオーディションを行い、その場で親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)と出会ったのだ。その後、2年生の音楽大学を卒業してから、デイヴィッド・ディフェイは初めてジャック・スターと出会った。連絡のきっかけは、ニューヨークで新しいバンド結成のためのヴォーカル募集広告にあった。1980年代初期には輝かしいロック・スターの影に隠れて多くのヘヴィ・メタル・バンドが結成されていた。ヘヴィ・メタルがいくつかの成功を収めているように、2人のバンドも将来を期待されていた。1981年に始動したバンドはヴァージン・スティールと名付けられ、ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンから登場した。なお、ヴァージン・スティールの名前は"純粋な鋼鉄"などに由来しているが、誰が付けたかは正確には分かっていない。ヴァージン・スティールの記念すべき第一作『Virgin Steele』は1982年に発表された。本作は「Music For Nations」から配給され、正式なヴァージン・スティールのデビュー作品となった。この頃の作品にはハード・ロック的な印象の楽曲が多く、70年代を彷彿とさせる雰囲気が大きな特徴であった。また、初期作品にはジャック・スターの個性的なギターが色濃く打ち出されていた。これは"ヴァージン・スティールがジャック・スターのバント"ということの証明であった。第2作『Guardians Of The Flame』は前作と同じく「Music for Nations」より1983年に発表された。本作の米国盤の名称は『Virgin Steele II』というものであった。なお、この作品は米国盤と欧州盤ではジャケットが異なっていた。内容には前作からの進歩があり、パッヘルベルのクラシックの名曲"カノン"をモチーフにするなどの工夫があった。楽曲もデイヴィッド・ディフェイとジャック・スターの制作で分かれており、お互いには明確な個性があった。特にデイヴィッド・ディフェイの楽曲はクラシックかつドラマティックであり、後のエピック・メタルの要素をいくつか持っていた。しかし、まだデイヴィッド・ディフェイのヴォーカルが未熟であり、バンドのサウンドも安定して聴ける内容ではなかった。1986年に「Cobra」より発表された第3作『Noble Savage』では、デイヴィッド・ディフェイとの音楽性の違いを理由にジャック・スターが脱退した。ここでは後にデイヴィッド・ディフェイの右腕となる親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)が加入した。当時のジャック・スターが望んだ音楽性はよりストレートなハード・ロックであり、デイヴィッド・ディフェイの追求するエピックな音楽性とは異なっていた。それを証明するように、その後のヴァージン・スティールはデイヴィッド・ディフェイの描く叙事詩的な世界観を強調するようになる。本作は内容的にも大きな飛躍を遂げ、従来のヘヴィ・メタルとは異なる部分を強烈に主張していた。特にアメリカのマニラ・ロード(Manilla Road)やキリス・ウンゴル(Cirith Ungol)等によって"エピック・メタル"と形容されていた音楽性が本作では表現されていた。タイトル曲の"Noble Savage"では「高貴な野蛮人(ノーブル・サベージ)」という古代の思想をモチーフにし、ヴァージン・スティールの新しい名曲を作り上げた。この時期から、ヴァージン・スティールの音楽性には、ギリシア・ローマ等の古典文学に通じる重厚な雰囲気が顕著になる。なお、前述の通り、デイヴィッド・ディフェイの父は演劇に詳しく、彼は幼い頃からエウリピデス(*注釈1)やアイスキュロス(*注釈2)、シェイクスピアなどの作品に親しんでいたという。1988年10月に「Maze Music」より発表された第4作『Age of Consent』はファンからも高く評価された。本作にはヴァージン・スティールの代表曲"The Burning of Rome"を収録し、前作よりも更にエピカルな面が強調されていた。しかし、一方でマネージメントの圧力に押されるというデイヴィッド・ディフェイ本人の葛藤があった。当時、流行の音楽性にシフトするように強いられた影響が、いくつかのアメリカン・ハード・ロック的な楽曲に表現されている。実際、本作のエピックな部分を評価しているファンの間ではこの構成が賛否両論となった。そのためか、本作は発表後に幾度も再発され、その際にボーナス・トラック追加と曲順を大幅に入れ替えている。残念なことに、本作発表後にヴァージン・スティールは活動休止を発表した。これにはマネージメントの圧力やバンドの音楽性の問題もあった。次のヴァージン・スティールの新作が発表されたのは1993年3月であった。しかし、ファンの期待は「Shark Records」配給の第5作『Life Among the Ruins』で裏切られた。コマーシャルなロック・ナンバーと軽快なブルーズ・ソングに代表される本編の作風は、ポップ化したと言われファンに非難された。本作は後にデイヴィッド・ディフェイが失敗作ではないと認めているが、多くのファンはこの作品に対して不信感と疑問を抱いた。本作を非難されるのは、デイヴィッド・ディフェイが最も影響を受けているバンド、レッド・ツェッペリンに従った自分の原点を否定されるものと同様であったという。

>>To be continued in:Emperor Of The Epic Metal:Next...


*注釈1:Euripides(480 - 406 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『メデイア』、『アンドロマケ』、『トロイアの女』等がある。
*注釈2:Aischylos(525 - 456 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『縛られたプロメテウス』、『オレステイア三部作』等がある。
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エピックメタル・ヒストリー:「ニュー・ウェイヴ・オブ・メディタレニアン・エピックメタル」

ニュー・ウェイヴ・オブ・メディタレニアン・エピックメタル(NWOMEM)


著者:Cosman Bradley
翻訳:METAL EPIC


地中海で起こったエピック・メタルの事象に関しての記録。

新時代のムーヴメント
ancient_greece ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の間に跨る地中海は、古くはローマ時代のラテン語でマーレ・ノストゥルム(mare nostrum:「我々の海」という意味)と呼ばれ、古代の世界において、海上貿易による膨大な富を文明諸国にもたらした。その利益を一身に受けたのが、古代ギリシアであり、古代ローマ帝国であった。温暖な海洋を巡り諸国へと運ばれた多種多様な珍味、装飾品、貴金属、衣服などの異国の逸品は、外国を知らなかった古代人たちにとって、大きな歓喜の一部でもあった。爾来、歳月は巡り、新しい時代が訪れた。これまでに、偉大な地中海はヨーロッパ諸国と様々な文化とを融合させてきたが、その温厚な波が、やがて激流となってエピック・メタルの分野にも押し寄せてきた。恰もヨーロッパ文化と異国文化のクロスオーバーであるかのように、これらの国々が特異なエピック・メタルと出会い、そして融合を果たしたのである。多くの人々が疑問を抱くことだろうが、エピック・メタルとは、70年代から80年代にかけて誕生し、主にアンダーグラウンド(地下)で人気を博したヘヴィメタルのサブジャンルである。特に80年代初期~後期にかけてアメリカの地下で急成長を遂げたエピック・メタルは、一部の熱狂的なファンによって支持され、小レコード会社が音源の配給を支え、地下での確固たる地位を獲得し、現在まで続いている。"エピック・メタル"という独自の名称は、作詞や世界観の側面において、古典文学や神話、及び叙事詩的なファンタジー作品からの引用を含むことに由来している。その起源は、アメリカのカンザス州出身のマニラ・ロードが発表した最初の2作品にあるとされ、『Invasion』(1980)発表後のインタビューで「エピック・メタル」という言葉を最初に口にしたのもマーク・シェルトンであったという。その後、80年代にはアメリカのマノウォー、オーメン、ヴァージン・スティール、ウォーロード、キリス・ウンゴル、ブローカス・ヘルムなどがこの分野の確立に貢献し、後続への影響を残した。続く90年代は、ヘヴィメタル全域にとって最も悪い時代であり、同様にエピック・メタルのシーンも沈黙を余儀なくされた期間である。しかし、この頃、ヴァージン・スティールが発表した『The Marriage of Heaven and Hell』(1994~1995)がヨーロッパでヒットし、エピック・メタルの存在をファンにアピールするための絶好の機会が訪れた。ここでエピカルなヘヴィメタルに目覚めたというHR/HMファンも少なくはない。21世紀に入ると、いよいよエピック・メタルの活動は本格化し始め、主にイタリアやギリシャを発端としてエピック・メタルのジャンルは人気を博していった。特に欧州では、エピック・メタルのムーヴメントも巻き起こった。"New Wave of Mediterranean Epic Metal(NWOMEM)"と呼ばれる熱狂的なムーヴメントがそうであり、地中海に面する国々を中心に拡大したこの巨大なコミュニティは、世界各地にエピック・メタルの新時代の訪れを告げた。NWOMEMから登場した代表的なエピック・メタル・バンドは、ギリシアのバトルロア、セイクリッド・ブラッド、イタリアのマーティリア、ロジー・クルーシズ、ドゥームソード、ホーリー・マーター、アイシー・スティール、ヴォータン、バトル・ラム、そしてポルトガルのアイアンソードなどである。なおこのムーヴメントは、地中海を中心に現在も拡大を続けている。



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エピックメタル・ヒストリー:「エピック・メタルの父」ロバート・E・ハワード2/2

エピック・メタルの父(The Father of Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
翻訳:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではロバート・E・ハワードとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている(前回より...)。

エピック・メタルの父
frank_frazetta リヒャルト・ワグナーを「ヘヴィメタルの父」と称するなら、ロバート・アーヴィン・ハワードは「エピックメタルの父」だった。僅か30年という短い生涯を送り、類稀な文才に恵まれ、人間の長寿と真向から対峙した人物が、ハワードその人だった。
 人生の輝ける一瞬を生き、不朽の名作を数多く世に残した“作家”ハワードの影響は、爾来、幻想文学のジャンルだけには留まらず、アート、音楽、映画産業へと拡大していった。現代社会の中には、ハワードの世界観に触発された様々な作品があった。
 代表作〈コナン〉は、ジョン・ミリアスの映画『コナン・ザ・グレート』として生まれ変わり、アメリカの作曲家ベイジル・ポールドゥリスによる、サウンドトラックの同名の音楽作品を生み出した。80年代以降、このサウンドトラックは、エピック・メタルの楽曲の中にも頻繁に引用され、屈指の人気作となった。また、映画は俳優のジェイソン・モモア主演でリメイク版が制作され、2011年に『コナン・ザ・バーバリアン』(Conan The Barbarian)として公開された。
 アートの分野では、アメリカのフランク・フラゼッタやケン・ケリーが才能を開花させた。空想の領域から視覚の段階へと移り変わったハワードの世界観は、幻想的なイラストレーションで表現され、アート界で高い支持を獲得した。現在に至るまで、ケン・ケリーの描いた魅惑的なアートワークが、数多くのエピック・メタルのアルバム・ジャケットを飾っていることは、ファンたちなら既に承知の事実だった。
 時が流れても、古代の神話や英雄叙事詩などが強い影響力を持っているように、リン・カーターやライアン・スプレイグ・ディ・キャンプなどの後続の作家たちは、ハワードが未完のまま残した作品を編集し、本人の死後も数々の「新作」を世に送り出した。この挑戦は、一部のファンたちから非難されたが、多くの“ハワード愛好家”は、未読の作品を楽しんだ。
 このように、時代を超えて、ハワードの創造した世界観は受け継がれていった。やがて、その流れは、ロック音楽のジャンルにも手を伸ばし始めた。ハワードの残した功績録の中に、「ヒロイック・ファンタジーを確立した」という項目があった。これが後に、叙事詩的なロック音楽のシーンから、大きな注目を集めたのだった。
 歴史は続いた──ハワードの作品に触発された後続の作家たちは、ヒロイック・ファンタジーの世界観を踏襲した。これらの作家たちは、数多くの小説を発表していく中で、現実的な功績を作り上げ、現在へと続く、「剣と魔法の物語」の幅を押し広げていったのだった。
 そのフォロワー的な作家たちの中に混じって、フリッツ・ライバーやマイケル・ムアコックなどが頭角を現していった。前述の通り、アメリカのフリッツ・ライバーは、1960年代に「剣と魔法の物語」という名称を唱えた。この作家は、「剣と魔法の物語」の世界を自ら体現し、〈ファファード&グレイ・マウザー〉という、ヒロイック・ファンタジーの人気シリーズも執筆した。一方、イギリスのマイケル・ムアコックは、1961年に〈永遠のチャンピオン〉(The Eternal Champion)シリーズの第1作目となる『夢見る都』(The Dreaming City)発表した。
 70年代初頭、イギリスからブラック・サバスが登場し、ヘヴィメタルの基盤を築くと、徐々にセックスやドラッグのテーマから離れた、新たな歌詞の内容が必要となった。ここでは、従来のキリスト教や悪魔崇拝、社会批判や戦争などとは異なる題材が求められた。
 イギリスのホークウィンドは、マイケル・ムアコックのヒロイック・ファンタジー小説をモチーフとした『ウォリアー・オン・ザ・エッジ・オブ・タイム』(Warrior On The Edge Of Time, 1975)を発表した。そして、未来のロック音楽のジャンルには、まだ開拓すべき可能性があることを証明した。
 これに影響を受けたアメリカのキリス・ウンゴルやマニラ・ロードなどのバンドたちは、80年代初期──ヘヴィメタルが急成長を始めた時期──に叙事詩的な文学作品とヘヴィメタルを融合させたサブ・ジャンルを追求した。アンダーグラウンド・シーンのバンドたちが、後にハワードの創造したヒロイック・ファンタジーの世界観と出会うと、現在のエピック・メタルの基盤が誕生したのだった。
 80年代以降、エピック・メタルにおけるハワードの影響力は強まり、次第に巨大な枠組みが完成していった──マニラ・ロードのマーク・シェルトンは、作詞で影響を受けた作家として、ハワードの名前を挙げた。第8作『ザ・コーツ・オブ・ケイオス』では、「剣と魔法の物語」の世界観を忠実に再現した、叙事詩的なヘヴィメタルの音楽のスタイルを作り上げた。
 マノウォーのジョーイ・ディマイオは、ハワードの〈キング・カル〉と〈コナン〉を影響を受けたヒーローたちとして称賛し、自らのバンド・イメージとして、その野性的なヒロイズムを代用した。第2作『イントゥ・グローリー・ライド~地獄の復讐~』や第4作『サイン・オブ・サ・ハンマー』などの作品では、野蛮で高潔な〈コナン〉の世界が、ダークなエピック・メタルのサウンドで表現された。
 イギリスのシンフォニック・エピック・ブラック・メタル、バルサゴスのバイロン・ロバーツは、エドガー・ライス・バロウズやハワード・フィリップス・ラヴクラフトを差し置いて、最も影響を受けた作家として、ハワードの名前を挙げた。第1作『レムリアの空に浮かぶ黒き月』(A Black Moon Broods Over Lemuria, 1995)と第2作『ウルティマ=テューレの氷に覆われし玉座の頭上にて燃え盛る星の炎』(Starfire Burning Upon The Ice-Veiled Throne Of Ultima Thule, 1996)では、ベイジル・ポールドゥリスのサウンドトラックからのメロディを引用した。また、“バルサゴス”というバンド名は、ハワードの短編小説『バル=サゴスの神々』(The Gods Of Bal-Sagoth, 1931)に由来したものだった。
 イタリアのドミネは、マイケル・ムアコックやハワードの世界観をテーマとしたエピック・メタルの作品を残した。第4作『エンペラー・オブ・ザ・ブラック・ルーンズ』(Emperor Of The Black Runes, 2003)の《The Aquilonia Suite》では、ベイジル・ポールドゥリスのサウンドトラックからのメロディを引用した。
 ノルウェーのヴァイキング・メタル・バンド、エインヘリャルは土着的な北欧文化を強調したサウンドの中で、幼少期のハワードが影響を受けた、英雄たちの神話の世界を表現した。EP『ファー・ファー・ノース』(Far Far North, 1997)では、ハワードの世界観とヴァイキング文化の融合に挑戦し、《Naar Hammeren Heves》の中で、ベイジル・ポールドゥリスのサウンドトラックからのメロディを引用した。
 新時代のエピック・メタル・シーンの中でも、ハワードの影響力は顕著だった。イタリアのロジー・クルーシズは、第1作『ワームス・オブ・ザ・アース』(Worms Of The Earth, 2003)でハワードの小説『大地の妖蛆』(Worms Of The Earth, 1932)をコンセプトとして、ピクト人の英雄〈ブラン・マク・モーン〉の活躍に触れた。その後、バンドは第3作『フェデ・ポテレ・ヴェンデッタ』(Fede Potere Vendetta, 2009)で、更に深遠なヒロイック・ファンタジーの世界観を追求した。《Venarium》の歌詞には、少年時代の〈コナン〉が登場し、ヴェナリウム砦での戦いが描かれた。
 ポルトガルのアイアンソードは、デビュー時からハワードの世界観に影響を受け、ヒロイックなエピック・メタルのサウンドを追求した。第3作『オーバーローズ・オブ・カオス』(Overlords Of Chaos, 2008)では、〈コナン〉の他にクトゥルー神話も楽曲のテーマに選択した。実際のハワードは、『ウィアード・テイルズ』誌の作家たちの影響で、クトゥルー神話関連の作品も数多く残していた。
 その他、ドイツのヴァイキング・メタル・バンド、クロム(Crom)もハワードからの影響を受け、バンド名にキンメリア人が信仰した大神の名前を使用した。また、同国のマジェスティもマノウォーのフォロワー・バンドとして活躍し、ケン・ケリーを起用した勇壮なカヴァー・アートワークでハワードの世界観への傾向を示した。アメリカのハイボリアン・スティールは、バンド名の通り、主にハワードが創作した“ハイボリア世界”を重点的に描いた作品を発表していった。
 ここで取り上げられた一例は、過去と現在において、ハワードと叙事詩的なロック音楽の共通性を示するものだった。現在のエピック・メタル・シーンでは、ハワードの影響力が巨大化し、それはバンドのイメージや精神面にも及んでいた。既にここで証明されてきたように、ハワードはエピック・メタルに関わるミュージシャンやファンたちにとって、一種の父性を持った存在に近付いていた。
 結果的に、今日の叙事詩的なヘヴィメタルの概要は、ハワードが1930年代に「ヒロイック・ファンタジー」の市民権を獲得したことに由来していた。これまでのエピック・メタル史の中で追求されてきた英雄主義的なテーマは、ハワードが生涯を懸けて追求した内容と同じだった。栄光、挫折、才能、影響、早過ぎる死──今回、一つの結論が導き出された。
 エピック・メタルに関わるミュージシャンやファンたちにとって、ロバート・アーヴィン・ハワードは偉大な父だった。彼の名前は、叙事詩的なヘヴィメタルの作品の中で、今なお生き続けていた。


*この記事は『叙事詩的なヘヴィメタルの歴史2』に収録されました。

叙事詩的なヘヴィメタルの歴史2


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Cosman Bradley(16/06/10)
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