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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


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Manilla Road 「To Kill a King」

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Lights from Oblivion



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2012
Reviews: 92%
Genre: Epic/Progressive Metal


イタリアのエピック/プログレッシブ・メタル、アドラメレクの2012年発表の3rd。

凡そ17年振りとなる第2作『Broken History』(2005)の発表で衝撃的な復活劇を演じたイタリアのアドラメレク。前作の充実した内容は、かつてのファンを満足させるためには十分な材料だった。『Broken History』において、中世時代への傾向やプログレッシブなエピック・パワー・メタルの音楽のスタイルは、更に洗練されており、古参に全く期待をしていなかった世界各地のリスナーを驚かせた。一部の評論家からは「全くサウンドが変わっていない」と絶賛され、アドラメレクは再びイタリアン・エピック・メタルの始祖としてその実力を示したのだった。
前作から凡そ7年の歳月を経て発表されたアドラメレクの第3作『Lights from Oblivion』は、複雑な作品だからこそ時間を有したという、高度なエピック・メタルの塊だった。大きな問題点があるとすれば、それはファンが本作を聴くために、あまりにも長く待たされたことだった。一部では復活を遂げた直後、アドラメレクは再び沈黙するかとも囁かれたが、このように『Lights from Oblivion』という劇的な作品が、ファンの元へと届けられたのである。
前作以上に静寂に溢れ、洗練されたドラマ性を描く本作は、アドラメレクというバンドが円熟の域に達したことを物語っている。エピック・メタルの伝統的な手法の一つ──静から動への展開を多用する『Lights from Oblivion』は、新時代に放たれた過去の遺産とも形容できる作品だった。アドラメレクはエピック・メタルの始祖の一柱だが、その変わらない音楽性が今も継続されている部分には、バンド側の断固とした意志が感じられる。それは現在のエピック・メタル・シーンを牽引していくものであり、強いては各地の辺境で燻っている若いバンドたちにとって、大きな刺激となるものだ。マニラ・ロード、ヴァージン・スティール、マノウォー、ウォーロード、そしてアドラメレク──果たして、ここまで古参が精力的に活躍を続けているヘヴィメタルのサブ・ジャンルが他にあるだろうか。エピック・メタルの世界こそは、これからも古く伝統的な音楽性を失わないと信じられるジャンルだ。



1. Lights
アコースティック・パートを絡めながらメロディアスに展開。
2. Aelegia
メロウかつ中世の雰囲気を宿す。
3. Islands of Madness
4. Truth Lies...
5. Wonderful Magician
美しさを強調した哀愁の楽曲。シンガロング・コーラスがドラマティックに響く。
6. Beyond a Lifetime
7. Tides of My Soul
アドラメレクらしいメロディアスなギター・ワークを持つ楽曲。スピードは落ちたが、中世風の重厚なメロディは健在である。中間部のリード・ギターは絶品。
8. Chiaroscuro
インストゥルメンタル。
9. King (of the Rain of Tomorrow)
10. Pain After Pain
11. We March, We Fail
12. Oblivion


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Broken History



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2005
Reviews: 86%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのミラノ発祥、全イタリアン・エピック・メタルの始祖、アドラメレクの2005年発表の2nd。


「壮大なアルバム」
 ──MetalRaw webzine

「サウンドは変わらず、バンドは叙事詩的な表現力を維持している」
 ──Flash




かつて伝説的な名盤『Irae Melanox』(1988)の発表ですべてのイタリアン・エピック・メタル・バンドに影響を与えたアドラメレクは、僅かその一作のみで長い沈黙を享受した。当時の衝撃は計り知れなく、アドラメレクがシーンから去った後、80年代に編み出された前衛的なアドラメレクのサウンドを高く評価する声は依然として収まらなかった。我々が良く知っているように、実に多くのバンドが80年代で姿を消したが、アドラメレクの存在もそこに含まれていた。そして歳月と共に、アドラメレクの名は一つの伝説と化していった。
21世紀、エピック・メタル・シーンでは古参の復活が大きな話題を呼ぶという事態が起こる。2000年、マニラ・ロードの再結成は熱狂的なファンを歓喜させ、2004年、ブローカス・ヘルムは自主制作で捨身の帰還を果たした。そして2005年、満を持してイタリアン・エピック・メタルの始祖がシーンに復帰したのである。前作からおよそ17年振りの新作はイタリアの「Underground Symphony」より発表、『Broken History』と名付けられ、これを待ちわびたマニアたちが殺到した。アドラメレクを再起動させたジャンルカ・コロナ(Gianluca Corona:g)は、今作に強力なヴォーカリスト、ヴィットリオ・バレリオ(Vittorio Ballerio:vo)を用意し、かつてのコンセプトで再びドラマティックなエピック・メタルに挑んだ。



明確にエピック・メタルの要素がある『Broken History』は、前作と同様、中世時代に傾倒した叙事詩的な作品である。本作では主に十字軍のコンセプトを主軸にして、メロディックかつプログレッシブなエピック・パワー・メタルが展開されていく。ここではかつての鋭利なサウンドが丸みを帯び、パワー・メタル的な音楽性が前面に押し出されている点に注目が集まる。プログレッシブな構成力とテクニカルなギター・ワークは減退しているが、中世時代への傾向は以前として残されている点には、アドラメレクのエピック・メタル・バンドとしての断固たる主張が垣間見える。特に今作ではかつての"Lamento (Anonymous XV Cent)"のようなインストゥルメンタルを全体に巧く導入し、ストーリーテリングな内容に幅を広げている。アドラメレクは本作で騎士道的エピック・メタルを完成させたと判断するに相応しく、中世への傾向がより立体的なサウンドとなって表現され、空間を支配する貴族的なイメージが視覚的な影響力を放つに至っている。『Broken History』に対し、リスナーは前作以上の衝撃を期待するのは危険だが、完成度の高い洗練されたエピック・パワー・メタルとして、本作は十分に機能しているといえるであろう。何度も聴くことが可能であり、決して一辺倒の内容ではない作品である。ここにアドラメレクは"イタリアン・エピック・メタルの始祖"の名に恥じない快作を作り上げた。



1. Intro: Fantasia I
中世風のイントロダクション。
2. I'll Save the World
従来のアドラメレクの帰還。プログレッシブなサウンド、メロディックなリフ、劇的な展開を兼ね備える。重厚かつスピード感も持ち、正統派のアグレッションも存分に楽しめる。本作を代表する名曲である。
3. Cluny Calls
中世のイメージを強調。アコースティック・パートに始まり、スピーディに展開する。メロディは以前よりマイルドな印象が強い。
4. Choral Prelude
インストゥルメンタル。
5. Broken History
タイトル・トラック。メロディックなリード・ギターを前面に押し出した楽曲。ミドル・テンポでシリアスなドラマを描く。中間部では転調を含む。
6. Beloved Jerusalem
重厚なエピック・パワー・メタル。エピカルなリフにロマンティックなヴォーカルを絡める。
7. Heap of Bones
泣きのギター・メロディが炸裂するバラード。アドラメレクが追求する世界観のイメージが掴める一曲である。
8. Dethroned in Shame
ヘヴィなリズムがエピカルなリフと共に行進する楽曲。変則的なリズムも使い分ける。クライマックスではアンセミックなコーラスも使用。
9. Darts of Wind
メロディアスなギター・ワークが耳を惹きつける。ヴォーカル・ラインからは中世特有の貴族的なムードも感じられる。
10. Different Times, Different Places
スピード感に満ちたエピック・メタル。高貴なメロディが風の如く滑らかに展開する。非常に練られた内容を持つ名曲。
11. Declaimed Prelude (The Bread and The Water)
メロウなインストゥルメンタル。
12. Ten Wiles (Much More than Begged Mercy)
テクニカルなギター・リフで攻め入る楽曲。その難解かつ知的なドラマ性は、エピカルなリスナーを楽しませる。緊張感に溢れた内容も秀逸。
13. Conclusion
エピローグ。


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Irae Melanox [Analog]



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 91%
Genre: Epic/Progressive Power Metal


イタリアのミラノ発祥、全イタリアン・エピック・メタルの始祖、アドラメレクの1988年発表の1st。


「最も洗練された騎士道的エピック・メタルのマイルストーン」
 ──Classix Metal


『イタリアン・エピック・メタルの歴史:序章』より...

1 序文

近年、NWOMEMの拡大で飛躍的な活躍を続けるイタリアだが、長い間、地下エピック・メタル・シーンの真の起源は謎に包まれていた「イタリアのエピック・メタルのシーンは、一体どのように形成されていったのか」我々は少なくとも、アメリカで発祥した地下エピック・メタルの起源が、80年代初期のマニラ・ロードとキリス・ウンゴルの活躍に属していることを突きとめた。しかし、それは、エピック・メタルの最初の歴史に関わるものであり、その後の顛末を含んではいなかった。既に過去の多くの記事の中で我々が追求してきたように、また、それらの事実が物語っていたように、時代と共にエピック・メタルは世界各地に分布していった。そして、世界の果てへと続く航海の如く、その長い旅路の最終的な目的地は地中海のイタリアであったのだ。今や世界において、エピック・メタルの巨大な市場と化したイタリアでは、80年代を軽く凌駕する数多のバンドが群雄割拠し、恰も人類史のように興亡を繰り返している。

2 アドラメレクの登場

アメリカのエピック・メタルの真の歴史がマニラ・ロードによって幕開けたように、イタリアのエピック・メタルの礎を築いたのはミラノ出身のアドラメレクであった。1986年、フランコ・アヴァリ(Franco Avalli:b)とジャンルカ・コロナ(Gianluca Corona:g)がブラック・サバスやアイアン・メイデン、クイーンズライク(QUEENSRYCHE)のカヴァー・バンドを結成したのがその原形であるアドラメレクは、その後、ジャンルカ・コロナが"ADRAMELCH"なる楽曲を書き、正式なバンド名となった。アドラメレクはユダヤ教、及びキリスト教の孔雀の悪魔であり、古くはフェニキアで信仰されていた神秘的な存在である。バンドは当時のパワー・メタルやプログレッシヴ・ロックのような音楽性を標榜していたが、不気味なバンド名が物語っているように、そこに別の要素を付け加えることにしたのである。

3 『Irae Melanox』

アドラメレクがイタリアの「Metal Master Records」から1988年に発表した第一作『Irae Melanox』は、地下で絶大な支持を獲得したウォーロード(WARLORD)やマーシフル・フェイト(MERCYFUL FATE)に影響を受けたカルト的なサウンドに加え、暗澹たる中世の世界観と十字軍の暗い史実、及び信仰を網羅した、イタリアで最初のエピック・メタル作品となった。決してパワー・メタルやプログレッシヴ・メタルには収まりきらないその斬新な音楽性は、作品の内部に潜むリアリスティックな中世の世界観と相俟って、一部の地下シーンでは大変な高評価を得た。既にアドラメレクは地下アメリカの伝説的なバンド、スローター・エクストロイス(SLAUTER XSTROYES)が『Winter Kill』(1985)で提示したプログレッシブなエピック・・パワー・メタルのサウンドを完成させていた。ジャンルカ・コロナが描いた絵画がアルバム・ジャケットとなり、NWOBHMに影響を受けてはいるが、知的極まるエピック・メタルのサウンドを表現した『Irae Melanox』の衝撃はまさに絶大であった。"Fearful Visions"、"Zephirus"、"Irae Melanox"という大作志向の邪悪な傑作群が本作の前半を占め、"Was Called Empire"、"Eyes of Alabaster"、"Dreams of a Jester"といった終盤における騎士道的な楽曲の存在が、イタリアン・エピック・メタルの歴史における重大な転機となった。しかし、「エピック・メタル」という当時の欧州では全く受け入れられていない音楽性と、地下シーンでの配給の悪さが悪循環を齎し、アドラメレクの存在と奇跡のような傑作『Irae Melanox』は悠久の幻と化すに至る。我々の調査のメスが入るのが遅れたのも、恐らくはそのためと思われる。

4 その後

爾来、イタリアの「Underground Symphony」が2010年に本作を再発。その際、2枚組仕様となり、1987年のデモと未発表曲8曲が追加収録された。この時、イタリアのエピック・メタルのルーツが遂に公になったのだと、多くのエピック・メタル・ファンは喜んだ。我々とて、その感慨の気持ちは同じであった。



1. Fearful Visions
不気味さを極める陰惨なイントロダクションから怒涛のリフへと展開。鋭利なメロディが狂気の渦巻く中で奏でられ、獰猛な悪魔の如き咆哮をあげる。攻撃性を極めたサウンドながら、楽曲からは構築感のある知性をも感じさせる。当時の衝撃は計り知れない。
2. Zephirus
凶暴なエピック・リフが唸る。メロディとスピード、リズムが完璧なドラマ性を表現し、聴き手に容赦なく襲い掛かる。一部ではアンセミックなコーラス・パートも配す。圧倒的な情報量を持つ、雪崩の如き名曲。
3. Irae Melanox
悪魔サタンをテーマにしたタイトル・トラック。およそ7分に及ぶ。このテーマは単なる悪魔主義とは異なり、叙事詩的な手法で描かれている。中世の異様なムードを放ちながらスピーディに展開する。カルト的なギター・メロディの応酬には息をつく暇すら与えられない。知性と狂気の両方を極めた至高の名曲だが、その他のジャンルには押し留められない、一種の芸術性すら醸し出す。これもエピック・ヘヴィメタルが世に生み出した最高傑作の一つか。
4. Lamento (Anonymous XV Cent)
中世の雰囲気を持つインストゥルメンタル。
5. Decay (Saver Comes)
大仰なリード・ギターのメロディがオーケストラの如く奏でられる楽曲。80年代に帰属するテクニカルなサウンドは衝撃的。スピーディなリフに乗るエピカルな旋律は恍惚。緩急に富んだ展開はあまりにも劇的。前衛的なサウンドはプログレッシブな音楽性の頂点である。
6. Was Called Empire
壮絶な疾走曲。テンションが衰えず、的確に中世の世界観を描き出していく。劇的な手法が生々しく成功し、勇壮なムードが漂う本曲は、恰も悲壮なる十字軍のメイン・テーマといったところであろう。
7. Eyes of Alabaster
アラバスター (Alabaster) とは白い鉱石のこと。中世時代には教会や家屋など多くの建造物に使用された。メロディックかつスピーディな内容は不変。中世の宮廷的なムードを宿し、かつて現実に存在したそれらの伝説を迫真のエピック・メタルで描く。リアリスティックな手法からは感動すら味わえる。これで後続のバンドはアドラメレクを称賛しないはずがない。
8. Dreams of a Jester
強烈なリズムを用いてヘヴィかつメタリックな内容を表現する。前半のダークなイメージとは異なり、ここでは中世騎士道物語のようなヒロイックな高揚感によって包まれる。コーラス・パートの雄々しさは絶品。


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