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「SLAUTER XSTROYES(スローター・エクストロイス) 」カテゴリ記事一覧


SLAUTER XSTROYES 「Free the Beast」

Free the Beast

SLAUTER XSTROYES the 2nd album in 1998 Release
★★★★★★★★☆☆...(名作)

アメリカ、シカゴ出身のエピック/プログレッシブ・パワー・メタル、スローター・エクストロイスの1998年発表の2nd。


ヘヴィメタルの長い歴史において、未発表の名作が好奇な目で凝視されることは、それらの作品にとって幸運な出来事である。我々が想像する以上にヘヴィメタルの世界は広いので、世に出ていない名作もまた多い。当然の如く、それらをすべて探すことなどは不可能な作業である。故に我々は作業をより効率良くするために、探す分野を絞る必要があった。歴史の中で細分化してきたヘヴィメタルの様々なジャンル区分は、物事を分かりやすくするためには必要な手順であった。

未発掘のカルト・メタル──即ちとんでもなく危険で異臭のするヘヴィメタルは、長年地下世界のマニアたちによって発掘されてきた。カルト的なヘヴィメタルはその不気味な音楽性故に地上から遠ざけられてきたが、好んでこれを探す者たちもいたのである。彼らはメディアを殆ど使用しない独自の情報網でカルト的な作品を収集し、また限られた仲間たちの間でそれらの作品を取引した。彼らによって再発見された名作の数は計り知れず、今、我々の自室に保管されている大切な作品も、そうであるかも知れないのだ。

恐らく歴史から消滅しかけたアメリカ、シカゴ出身のスローター・エクストロイスの幻の第2作『Free the Beast』は、1998年にデモ音源追加という形式で発表された逸品である。過去、本作は1987年に半分完成し、未完成のまま放置された。しかしその後アメリカの「Monster Records」によって再発見され、今回の発売へと至ったのである。

カルト的なエピック・メタル、またはプログレッシブ・メタルの不滅の名作である『Winter Kill』(1985)を経ての奇跡の発売を果たしたスローター・エクストロイスの本作は、その手のマニアが待ち望んでいた作品であり、内容もそれに相応しいものとなっている。前作に心底感銘を受けた体験を持つファンは、今作でもその期待が見当違いではないことを知るであろう。

前作よりも遥かに完成度・説得力を増した楽曲群がテクニカルに襲いかかってくる様は、スローター・エクストロイスというバンドの着実な進歩を証明している。本作が正式に発表された時代もあるが、過去のチープさを払拭した緻密なサウンドは、時にエピカルに、またプログレッシブに聴き手の弦線を刺激する。この手のサウンドは明確にマーシフル・フェイト(MERCYFUL FATE)と類似したものであり、強烈な印象を残すジョン・スチュワート(John Stewart:vo)のヴォーカル、及び作品全体を夜霧のように覆うカルト的な雰囲気がその事実を物語っている。

我々は本作『Free the Beast』が"未完成"であるという事実を考慮しなければならない。しかし未完成であるにも関わらず、既に名作『Winter Kill』を凌駕したサウンドが、ここにはある。これは驚くべき事実であり、ヘヴィメタル史の異なる可能性を示している。複雑かつテクニカルな激流の如きサウンドの中に印象的なメロディを配すスローター・エクストロイスの器用な妙技が世に出る時期が多少早ければ、現在のヘヴィメタル史はまた違った筆跡を描いていたのだ。




1. Free the Beast
2. Blood in the Streets
プログレッシブ・メタルの代名詞とでも形容すべき内容。複雑で高度なテクニックが全体を駆け廻るサウンドは、聴き手を選ぶことであろう。スピード感に満ちたスリリングな展開は必聴。
3. Wicked Bitch
およそ7分に及ぶ大作。メロディアスかつ知的なサウンド、シリアスな世界観が貫かれる。当然の如く、一辺倒では説明できない複雑な展開を有する。
4. NSZ 190
プログレッシブなイントロからは知性をも感じさせる。 後半にかけてのドラマティックな展開には目を瞠るものがある。非常に完成度の高い一曲。
5. Syncopated Angel
強靭なリフを持つ楽曲。メタリックなそのリフには思わず「格好いい」という言葉が漏れる。中間部からはプログレッシブな疾走を開始。
6. Farther Than Yesterday
混沌とした内容を披露。随所にメロディックなフレーズを散りばめる。恐らくキリス・ウンゴルに通じるサウンドだが、こちらの方が計算されている感がある。
7. Metal's No Sin
およそ9分に及ぶ大作。 不気味な雰囲気を宿し、悪魔の如き咆哮が周囲に木霊する。複雑な展開は聴き手を全く飽きさせることがない。
8. Battle Axe
およそ2分の小曲。繋ぎとしては良い。
9. Dignified Disaster
エピカルなイントロダクションから疾走。整合性のあるサウンドと奇怪なヴォーカルとの対比が凄まじい。 また全体が凄絶なテクニックの応酬でもある。
10. Burning Rock
スラッシーなリフを用いた疾走曲。縦横無尽に暴れ狂い、高度なテクニックを披露する。
11. E Pluribus Unum
超絶技巧によるスピーディなサウンドが聴き手を圧倒する。内容は依然凄まじい。
12. Mass Confusion
スローター・エクストロイスのポテンシャルの高さを表現するテクニカルなインストゥルメンタル。アイアン・メイデンを彷彿とさせるメロディの使用が耳を惹きつける。



Review by Cosman Bradley
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SLAUTER XSTROYES 「Winter Kill」

Winter Kill

SLAUTER XSTROYES the 1st album in 1985 Release
★★★★★★★☆☆☆...(カルト盤)

アメリカ、シカゴ出身のエピック/プログレッシブ・パワー・メタル、スローター・エクストロイスの1985年発表の1st。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

スローター・エクストロイス(SLAUTER XSTROYES)は1979年にアメリカのシカゴで結成された。アメリカのアンダーグラウンド・シーンがまだ本格的に形成されていない頃、いくつかのカルト的なヘヴィメタル・バンドが影で活動していたことを我々はよく知っているが、スローター・エクストロイスもそのうちの一つに数えられる。現在では"エピックメタル四天王"と呼ばれるキリス・ウンゴルやマニラ・ロードなどの特別なバンドも、元々はそこの出身だ。80年代初期からエピックメタルの土台が築き上げられ、そのために大きく貢献したバンドたちがいる。スローター・エクストロイスは幸運にも後の時代に再発見されたバンドだが、空白のエピックメタル史を埋めるために、一体いくつの優れたバンドが地下に埋まっているのか、実際には定かではない。本作『Winter Kill』が1999年に再発(*注釈1)されたことは、この手のマニアを歓喜させる以上に意味があったはずなのだ。
さて、過去の貴重な資料であるスローター・エクストロイスの第一作『Winter Kill』は、ポール・カートキー(Paul Kratky:g)、ブレント・サリヴァン(Brent Sullivan:b)、ジョン・スチュワート(John Stewart:vo)、デイヴ・ボノウ(Dave Bonow:d)によって制作された。他のどのバンドよりも複雑でプログレッシブなサウンドは、スローター・エクストロイスの評価を著しく向上させるものであった。例えば整合性に満ちたアイアン・メイデンのメロディックなサウンドを更に強烈に歪ませたものが、本作『Winter Kill』のサウンドに該当する。楽曲の要所に配置されたテクニカルなフレーズや、恰もキリス・ウンゴルを彷彿とさせる狂気的なヴァーカルの類は、アンダーグラウンドのヘヴィメタル・シーンでは御馴染みの現象である。加えてチープな音質がそれに拍車をかける。しかし、プログレッシブな要素が鋭利なサウンドで持って聴き手を混沌の世界に誘うことは、終始避けられない事実である。狂気と知性とが混同したある種の陶酔感が、本作には宿っているのだ。
以外にも過去の産物は現代の新品をも凌駕する魅力を秘めている。カルト的な雰囲気を周囲に充満させ、単調ではない知性のあるヘヴィメタルを展開するこの『Winter Kill』も、そういった名作の一つである。詰まる所、マニアは生唾もののアンダーグラウンド・サウンドがそこには展開されているわけであり、現在でも一部の層に拝聴され続けているのだ。本作が一時期は高値で取引されていたように、「カルト的なエピックメタル」という偏見を捨て去れば、ある者にとっては本作は非常に価値のある逸品となる。現在もこうして本作が地下市場に出入りしている事実が、その魅力を存分に物語っていよう。最も我々は、本作が80年代を飾る貴重なエピックメタルの資料であることも、忘れてはならない──

*注釈1:再発の際、#8"Winter Kill (Remix)"が追加収録。




1. Winter Kill
テクニカルかつプログレッシブなイントロから幕開ける。複雑な構成を有し、独特のハイトーン・ヴォーカルと相俟って異様な世界観を構築。
2. No Idea
意外にもアコースティック・パートから始まる。後半にかけて劇的に展開。
3. The Stage
テクニカルな疾走曲。緩急をつけながら高い演奏技術を披露。薄暗い雰囲気がカルト的な音楽性を強調する。
4. City of Sirtel
劇的なイントロダクションから幕開ける。哀愁に満ちたメロディ、突然のアップテンポ、静寂パートの導入など様々な展開を有する。本曲のドラマ性はエピックメタルとして十分に通じるものであろう。
5. Charlotte
哀愁を放ちながらエピカルな展開を披露。中間部のパートはアイアン・メイデンを彷彿とさせる。
6. Black Rose and Thorns
キリス・ウンゴルのような奇怪なハイトーンから開始。本曲も複雑な展開を有してはいるが、随所にエピカルなパートが配置されている点にも注目したい。
7. Mother, Mother Fucker
メロディックな象徴を強調しつつ、勇壮な雰囲気を貫く。途中、メロウなパートを配するなどよく練られている。ラストの叫びは壮絶。



Review by Cosman Bradley
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